鎌倉淳ブログ

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2011 01/25

マレー鉄道・東海岸線 その1(2010年マレー半島鉄道旅行記7)

グマス-トゥンパ 527.7km
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マレー半島の中央部を縦断してタイ国境近くの東海岸に至る路線が東海岸線である。

西海岸線の途中駅グマスから分岐し、おおよそ北東に向かっている。名称は東海岸線だが、ほとんどはマレー山岳地帯の密林を走り、海岸沿いを走る区間はない。そのため、別名は「ジャングル鉄道」と呼ばれている。

地図を見ると、東海岸線は西海岸線と並んでマレー鉄道の二大幹線の一つを形成している。
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が、実際の運転本数はきわめて少ない。区間運転を含めても全部で1日8往復である。全線を通して走る列車は3往復だけで、うち1往復がクアラルンプールに直通、2往復がシンガポールに直通する。シンガポール直通列車は両方とも急行で、昼行が1往復、夜行が1往復である。

僕が乗るのは、そのうちの昼行である「エクスプレス・シナラン・ティムール」である。これは、シンガポールからトゥンパットまでの748.7キロを14時間57分で結ぶ急行列車である。途中のガマスまでは、昨日通った西海岸線を走り、そこで分岐して東海岸線に入り全線を走破する。

この列車のシンガポール発は早朝4時半である。そのためシンガポール駅近くに一泊した僕は、朝4時に駅に戻ってきた。駅の外観は真っ暗だったが、入口の一つが空いていて、中に入ることができた。ホールにはほとんど人はいない。
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しかし、驚いたことに、構内の食堂は開いている。それはいま開いたばかりというよりは、徹夜で営業していた雰囲気である。食堂でネスカフェのコーヒーをもらい、昨夜ホテルを探しているときに見つけたパン屋で買ったココナツパンを食べる。4時をすぎると同じ列車に乗ろうとする客が集まり始めた。けれど、それは全部あわせても10人程度であった。

発車10分ほど前に、ホームへのシャッターが開く。ホームの手前にはイミグレーションがあり、そこでマレーシアの入国手続きをする。シンガポールをまだ出ていないのに、マレーシアの入国手続きをするのは奇妙だが、そういう仕組みになっている。
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それを抜けると、誰もいない暗いホームに、古びた客車がぽつねんと身を横たえている。
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客車が古びていることにはもう驚かない。車両は2等車ばかりの4連で、その前に電源車、ディーゼル機関車となっている。ディーゼル機関車はクラス24という形式で、1987年に導入されたものだ。東芝と川崎重工の共同製造である。

4両の客車のうち、僕の指定された車両だけは新しかった。製造元はわからない。座席はまだ色鮮やかで、ここ数年に製造されたものと思われた。
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その車両に乗ったのは、僕を除けばたった二人である。早朝4時半の列車だから、無理もないが、それにしても少なすぎる。

じつは、マレー鉄道では、シンガポール国内の乗客が少なすぎることが問題になっていて、近くこの区間が廃止されることが決まっている。まず2011年7月までにシンガポール-ウッドランズ駅が廃止。その後、2018年ごろには、ウッドランズ-ジョホールバル間も廃止される。かわりに、シンガポール都市交通のMRTが、ジョホールバルまで延伸されるのだという。堂々たるシンガポール駅舎の偉容が、あと1年も経たずに使われなくなると思うと残念ではあるが、この利用者数を見れば仕方がないのかもしれない。

僕の乗っている車両の隅には、小さなワゴンが置かれていて、簡易売店のようになっている。そこに売り子が一人、車両後部にスタッフがあと一人座っている。客と乗務員がほとんど同じ数である。

定刻4時30分発。次のウッドランズでシンガポールの出国審査を受ける。客は10数人だからあっという間に出国審査が終わり、列車は国境橋を渡りマレーシアに戻る。並走する道路では、今朝はマレーシアからシンガポールに向かうクルマが多い。昨夜とは流れが反対である。

ジョホールバルを出て、6時半頃には夜が白みはじめ、7時には完全に明るくなった。車窓はバナナ畑が多い。背丈の揃ったバナナの木がずらりと並ぶ様子は壮観である。朝の光が濃緑の葉を鮮やかに照らし、神々しささえ漂う。途中で停まった駅の駅名標の横には、高々と椰子の木がそびえている。
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シンガポールから5時間ほどで、ガマスに着く。ガマスは、東海岸線と西海岸線という二つの幹線の分岐点である。マレー鉄道では最重要のジャンクションといえ、ホームも2面3線あり、跨線橋まで備えている。たかが跨線橋で大げさだが、マレー鉄道ではレアである。
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クアラルンプールとジョホールバル以外で跨線橋を見たのは、この駅だけだ。しかし、駅前は寂れていて、廃れた商店がシャッターを閉めている。地方の駅前のシャッター通りは、日本だけではないらしい。

ここで、電源車を入れ換える。電源車といっても、無蓋車の上に、直方体の外観の発電機を裸で積んだだけのものである。おおざっぱな電源車だが、客車4両の電源を賄うだけなら事足りるのだろう。機関車のすぐ後ろについていた電源車を外し、別の電源車を客車の最後尾に連結した。ここまで使用してきた電源車に不具合があったのだろうか。新たに付けられた電源車も、無蓋車に大型発電機を乗せただけの簡易なものである。
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10時07分、35分の遅延でガマス発。ようやくここから東海岸線、通称「ジャングル鉄道」である。長くなったので、続きは次項にする。

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