がっかり軍艦島ツアー(長崎世界遺産候補地旅行記7)

ツアーの軍艦島の上陸時間は1時間足らずである。短い滞在を終えると、再び船に乗って島を離れる。

離れるときの光景が、いちばん美しい。
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で、ツアーの感想を正直に書こう。


期待外れである。



期待はずれの理由も明確だ。自由に島内を歩き回れないからである。


そもそも、遺跡というのは、古い建造物群の中を歩き回ってこそ楽しめるものだ。軍艦島もすでに遺跡であり、歩き回ることに楽しみがある。しかし、現実にはそれはできない。だから楽しくない。正直に書くと、僕の訪れた経験において、ここは、日本最大のがっかり遺跡である。


古くなったコンクリートに崩壊の可能性があり、観光客が内部に入るのは危険だ、という考え方はわかる。コンクリートは石造建築とは違い、日々劣化していき、遠くない将来に崩壊する。そんな建物に足を踏み入れさせて事故でも起きたらおおごとである。だから通路外の歩行が禁止されている。それは理解できる。

が、軍艦島の魅力は、この狭い土地で暮らした人たちの生活の痕跡にある。それなのに、島の外縁の、炭鉱施設跡の近くをかすめて散歩するだけでは、その魅力を感じることはできない。現在行われている上陸ツアーでは、住宅も商店街も学校も娯楽施設も屋上庭園も見ることはできない。ただ、炭鉱施設のはしっこの、きれいに舗装された通路を歩くだけである。

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数年前まで、旅人は自由に島に上陸し、自由に見て回ることができた。もちろん厳密には違法であり、それをふまえたうえでの自己責任であり、崩壊で被害者が出ていないのはたまたま運がよかっただけである。

しかし、僕がここを訪れて痛感したことは、やはり観光化される前にくるべきであった、という後悔ばかりであった。

ネット上には、観光化される前に撮影された軍艦島の住宅群の写真があふれている。写真集も出ている。そうしたものは、この廃墟の魅力を存分に伝えている。行ってみたいと思わせるものばかりだ。しかし、現在の軍艦島ではそれらのほとんどを間近で見ることができない。せいぜい、遠目に眺めるだけで、見えない部分のほうが圧倒的に多い。ならば、わざわざ長崎まで来て欠航率の高い船に乗ろうとするよりも、家のパソコンで画像を眺めていたほうがいい。

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