SL川根路1号千頭行き(鉄道全線完乗はアプト式で3)

大井川鐵道のSL列車は、平日は1日1往復のみの運行である。起点の新金谷駅を11時45分に出る。それに乗るには、品川を9時10分に出る「ひかり」に乗らなければならない。

静岡に10時06分着。普通列車に乗り継いで金谷に10時53分に到着する。金谷は大井川鐵道の起点である。昔ながらの幹線駅の雰囲気を漂わす、威厳のあるホームが今も現役だ。

大井川鐵道の金谷駅は、JRに隣接して設置されている。ホームは1面1線しかなく、しかも細い。このホームには、SL列車は来ない。以前はSL列車が乗り入れていたが、2011年から一つ先の新金谷始発となっている。

大井川鉄道03

11時21分発の列車で新金谷へ。かつての京阪テレビカーで、さりげなくこれも保存鉄道だ。エアコンはしっかり効いていて気持ちいいが、椅子の座面はかなりくたびれている。

大井川鉄道04

11時26分、新金谷着。向かいのホームにSL列車はすでに入線していた。

大井川鉄道05

驚いたのは、それに乗り込もうとする団体ツアーの客の数である。数え切れないくらいの人の群れが、SLを前に記念撮影をしている。平日なら空いているだろうと思ってやってきたが、大きな間違いだったようだ。車内も大混雑である。

大井川鉄道06

SLの列車名は「川根路1号」。この日の機関車はC11形C11 227。1976年に運行開始した初の保存列車の機関車で、1942年の日本車輌製造製である。客車は国鉄時代の旧型客車オハ35系である。筆者が乗ったのは3号車で、車番はオハ35 459。1931年日本車輌製造製で、1980年に大井川鐵道に移籍している。窓枠の下にある栓抜きや、天井の扇風機が懐かしい。扇風機には「日本国有鉄道」の文字が残されている。

大井川鉄道10

「川根路1号」は、新金谷11時45分の定刻より少し遅れて発車。客車列車特有の滑るような走り出しがよい。スピードは出ない。ゆっくりゆっくりと進む。車窓は茶畑である。このあたりは川根茶の産地だ。茶畑には背の高い風車が立っている。霜対策だそうだ。

大井川鉄道08

購入したSL弁当を開けて食べる。何が「SL弁当」なのかがわからないが、エビフライが妙に美味しい。おかずがぎっちり詰まっていて、とても食べきれない。

大井川鉄道07

最初の停車駅家山で、先頭車両の4号車の団体客がどっと降りた。一駅間だけの「SL体験」のようだ。途端に4号車はガラガラになる。

続いて大井川を渡る。鉄橋の先が緩くカーブしている。ここが、SL列車のハイライトだ。

大井川鉄道09

次の下泉では3号車の団体客も半分くらい降りた。ようやく、車内は落ち着く。このくらいの乗車率がちょうどいい。

指で耳たぶの中を触ってみると、煤で黒くなった。大井川鐵道のSLは無煙炭を使っているというが、やはりSLである。昔の人は、もっと質の悪い石炭の蒸気機関車の列車に乗って、狭い席に座り、長距離を移動していたのだろう。昔の旅行記を読むと、大きな駅に着くたびに、客がホームの洗面所で顔を洗ったりする様子が描かれている。大変だったろうな、と改めて思う。

13時06分千頭着。

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