七百駅と旧型車両と新幹線(2012年さよなら十和田観光電鉄旅行記5)

13時40分発の折り返し列車に乗り、七百駅で降りてみる。先ほども書いたように、ここには車庫があり、今は本社も併設されている。
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七百駅の駅舎は、がらんとしている。20畳ほどのスペースの壁際に、ベンチが申し訳ない程度に付いているだけだ。かつては有人駅で、窓口も改札口もあったのだろうが、今は窓口はベニア板で打ち付けられ閉鎖され、改札は撤去されている。駅舎内にある設備は時計だけだ。これも、近隣住民の贈呈と書かれていた。
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外に出て、留置されている車両を眺める。駅施設には入れないが、道路からでもよく見える位置にある。先ほどのモハ3400のほか、電気機関車が2両ある。1951年と1961年に新造されたもので、どちらも貨物輸送用に導入されたが、貨物輸送は1986年に廃止されている。それからずっと、たまに除雪に使われる他は、ほとんど使われずに留置されているようである。
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凸型の形状に、えんじ色とクリームのカラーリングが美しい。こんないい機関車があるのならば、どこからか客車を譲ってもらって、観光用のトロッコ列車でも走らせたらいいのに、と思う。しかしどうも、前述したが、この鉄道会社はそういうことにはあまり興味のないようだ。「観光鉄道」なのに、かえすがえすも不思議である。
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駅の周囲には、集落があるが、これといって見るべきものはない。商店ももちろんない。
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駅の東、500メートルほどの場所で、十和田観光電鉄と東北新幹線が交差している。そこに駅でもできていれば、十和田観光電鉄の運命もまた違ったものになっただろう。しかし、現実にはそこに駅などできず、新幹線は無情にも通過していく。しかもトンネルになっているので、十和田観光電鉄からは、新幹線の姿を見ることすらできない。

見えない新幹線に翻弄され、この地方のローカル私鉄は、89年6ヶ月の長い歴史に終止符を打つ。


これで、「2012年さよなら十和田観光電鉄旅行記」は終わりです。よろしければ、拍手の一つでもしてくださいな。

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