ふるさと納税の選び方は2つあります。
最近、そう考えるようになりました。
「コスパ」で選ぶか、「感動」で選ぶかです。
日用品はコスパで選ぶ
「コスパ」はわかりやすい基準です。1万円の寄付で、どのくらいの価格の謝礼品をもらえるか。その還元率がはっきり計算できる品物は選びやすいです。
たとえば、私はふるさと納税の謝礼品にビールを選ぶことが多いのですが、これはコスパで選びやすい品物です。
和歌山県の北山村では、
350mlの1箱(24本入り)のビールを、1万円の寄付に対する謝礼品にしています。ビール24本なら、市場価格は4,500円くらい。1万円の寄付の還元率は45%ですから、コスパとしては高いです。
【ふるさと納税】サッポロ ヱビスビール 350ml × 1ケースビールは日常的に飲むものなので、いわば日用品。日用品をふるさと納税で謝礼品としてもらえば、単純に節約になります。日常的に飲食・消費するもの(広い意味の日用品)をふるさと納税の謝礼品で選ぶときは、コスパ=還元率を基準にすると、納得感が得られます。
地方には掘り出し物の「感動」がある
節税という観点からみれば、上記のようにコスパで選ぶのが正しいように思えますが、唯一絶対の基準でないのが、ふるさと納税の奥深いところです。第2の基準として、「感動」があります。
ビールの話を続ければ、最近は各地で地ビールが販売されていて、ふるさと納税の謝礼品になっています。地ビールは大手ビールメーカーの商品に比べれば明らかに割高ですが、飲んでみると、思わぬ掘り出し物に出会えることもあります。
定価を基準とした「還元率」では、大手ビールに比べて地ビールは見劣りすることもありますが、そんなことが気にならなくなる「感動」が得られることがあります。私が大好きな、岡山県津山市の謝礼品「
作州津山宇宙ビール
」も、還元率だけで考えればお得感はありませんが、とにかく美味しいです。

【ふるさと納税】作州津山宇宙ビール
スーパーでは手に入らない味
私は、とある村のお米を、毎年謝礼品としてお願いしています。このお米が、とんでもなく甘くて美味しいです。
このお米は、10,000円の寄付で20kgもらえます。たとえばコシヒカリは、東京のスーパーで10kgが3,000円くらいで手に入りますから、10,000円の寄付で10kgのお米は、謝礼品のコスパとしては標準的で、高いとはいえません。
しかし、この米の味が感動的で、東京のスーパーで売っている「ブランド米」とは明らかに違います。この味を楽しみたいから、この謝礼品を選んでいます。つまり、
「コスパ」ではなく「感動」で選んでいるわけです。
ふるさと納税の醍醐味は、このように、ふだん生活しては知ることもなかったような地域の特産品に出会えることです。近所のスーパーにあったとしても、「高いから」と買わないような地方の産物を、「納税と寄付」という関係性ならば手にしやすいという側面もあります。この出会いが素晴らしいと思います。

「感動」が重要になってくる
ふるさと納税のお得さは「コスパ」で測られがちですが、これからは「感動」が、より重要になってくると思います。
というのも、今年になって、総務省のお達しにより、ふるさと納税の「還元率」が3割程度に抑えられることになったからです。どの自治体どの謝礼品でも、還元率に大差がないなら、「感動」の高い商品のほうが選ばれようになるでしょう。
さらにいえば、
「感動」と「コスパ」を両立させる謝礼品こそ伸びると思います。それは野菜や果物、魚介類といった、生鮮品です。
なぜなら、こうした生鮮品は、産地と消費地で価格差があるからです。この価格差により、「産地では3割の還元率でも、都内なら4~5割の還元率」というケースが生まれます。たとえば、産地で買えば1玉1,500円のメロンが、東京の百貨店で3,000円で売られている、なんてことはよくあります。
この場合、1万円の寄付でメロン2玉=都内なら6,000円相当が送られてきて、しかも美味しくて感動するわけです。「コスパと感動が両立する」という謝礼品とは、こういうものだと思います。
【ふるさと納税】マスクメロン2Lサイズ2玉「都内でもスーパーならもっと安いのでは?」という意見もありそうですが、百貨店で3,000円するようなメロンは、スーパーではなかなお目にかかれません。
近所のスーパーではなかなかお目にかかれない、産地自慢の新鮮なフルーツの感動を、納税を通じて味わうことができる。それこそが、新しく、そして本来求められているふるさと納税の姿ではないか、と最近とみに思うのであります。