【レビュー】東京近郊スペクタクルさんぽ 宮田珠己著

昔から思っていたことだけれど、宮田珠己は、旅のテーマを見つける天才だと思う。「東京近郊スペクタクルさんぽ」(新潮社)を読んでみたが、やっぱり改めてそう思う。

東京近郊スペクタクルさんぽ

本書に出てくる旅のテーマは、ダムだったり、彫刻だったり、素掘りトンネルだったり、工場だったりする。

観光地とは少し違うけれど、観光的にスポットがあたってもおかしくない場所だ。いわば、ポテンシャルはあるものの、観光的には未発掘な場所を探し出し、宮田氏の視点でその魅力を伝えている。

人により好みはあるので、すべての場所が読み手にとって興味深いわけではない。しかし、どの場所にも、行ってみたくなる要素が含まれている。

房総半島に多数ある素掘りトンネルは面白そうだし、湘南モノレールの魅力はその筆致から伝わってくる。三原山のスライダーに関する考察には引き込まれた。



世の中は、「散歩」がブームで、テレビの旅番組でも多い。たいていは、歩きながら、地元の人とのふれあいを打ち出している。しかし、宮田はそんなものには一瞥もくれない。

「旅や散歩で大切なのは、人情ではない。スペクタクルだ。」

驚きのスポットは、まだまだちゃんとあるのだ。日本には、いや東京近郊にすら、知らない場所、知らないことはたくさんある。

そう再認識させてくれた一冊だった。


東京近郊スペクタクルさんぽ

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