洞窟探検、吉田勝次は川口浩を超えたか

NHKBSで、「世界最大級!ラオス 絶景の未踏洞窟に挑む」という番組が放送されました。最初のオンエアは2018年7月だったそうですが、私は2019年1月の再放送を録画してみました。つまり半年遅れなのですが、まあすごい番組でした。こういうのを、さりげなく放送するから、NHKBSは油断ならないですね……。

世界最大級!ラオス 絶景の未踏洞窟に挑む
画像:NHK

洞窟というのは世界中いたるところにありますが、人類が足を踏み入れたことのない未踏洞窟は数多く存在します。その意味で、洞窟は探検家にとって最後のフロンティアです。

なかでも、注目されているのがラオス。洞窟ができやすい、石灰岩の台地が広がっているからです。

そこを探検するのが、洞窟探検家・吉田勝次氏。十数人と目される探検隊を組織して、ボートを繰り出して洞内に突入します。



洞窟の内部は暗く、狭い部分も多く、湿度が高くて撮影機器が壊れやすいという悪条件が重なります。しかし、この番組では、豊富な照明で洞内をドローンまで飛ばして撮影。世界屈指の大洞窟の内部を見せてくれました。

1カ月にわたる洞窟探検のドキュメンタリーは、なかなかありません。洞窟探検の様子をこれだけ収録した番組は、日本初かもしれません。吉田氏も、まあ、すごすぎるけれど、こういう番組を作ったNHKもさすがですね。



恥ずかしながら書いておくと、私にも洞窟探検の経験があります。主に学生時代に、国内の洞窟にいくつか潜りました。

その乏しい経験で振り返っても、洞窟探検というのは大変です。とくに狭さと水が難敵で、メンタルをやられます。狭い道を、冷たい水に浸かりながら匍匐前進したりしているうちに、「ここで低体温になって動けなくなったらどうしよう」とか「ひょっとしたら出られなくなるのではないか」と思い始めると、怖くて先に進めなくなります。

なにしろ、洞窟内で遭難しても、救助は困難です。トラバースしているうちに転落して骨折しても、基本的には自力で脱出しなければならないのが洞窟なのです。ヘリコプターの救助が期待できる登山とは、この点が異なります。



洞窟探検のつらいところは、匍匐したり、冷たい水に浸かりながら先に進んでも、その先に広い空間が待っているとは限らないこと。逆に行き止まりになることもあります。

そして難所を通り抜けたとしても、また同じ場所を、同じ苦労で戻らなければならないことです。狭い通路を実をよじらせながら進んでも、「あとでもう一回ここを通らなければならないのか」と思うと、気が重くなります。

その点で、吉田隊長のメンタルはスゴイです。身体一つ入るかどうかという洞窟の奥の奥に、自撮り棒のカメラまで持って進めるというのは、相当強いメンタルがなければできないことです。51歳だそうですが、その年齢で、体力を使う洞窟に、1カ月も入り続けるなんて、まあ超人でしょう。



番組では、世界最大のホールを探すことを探検の目標設定としていました。何らかの目標を立てないと、番組構成上、盛り上げづらいからかもしれません。結局、目標は達成できませんでしたが、未踏洞窟の内部構造をここまで解明しただけで、十分スゴイと思います。


吉田氏は私と同世代で、川口浩探検隊の番組の影響を受けたそうです。私も同じで、川口探検隊に感化されて、大学時代にケイビング(洞窟探検)を始めました。しかし、50歳を迎えるいま、とても洞窟なんて入る気になりません。体力的にも大変ですし、メンタル的にも無理です。その意味でも、吉田氏は、驚嘆に値する人物だと思います。

登山界と違って、洞窟界にはスターと呼べるような探検家はいません。海外洞窟で成果をあげた吉田勝次氏は、川口浩以来の、著名な洞窟探検家になったのではないでしょうか。

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かまくら・じゅん
旅人。旅行総合研究所タビリス代表。日本と世界の世界遺産、鉄道、島などを取材中。→詳しいプロフィール

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