「承久の乱」(本郷和人・文春新書)レビュー

私は大学受験を日本史で受けましたが、保元・平治の乱から承久の乱に至る70年間は苦手でした。歴史の流れを掴むのが難しかったからだと思います。

『平家物語』も読んでみましたが、似たような名前の登場人物が現れては死んでいき、どうも頭に入りません。よくわからないまま、年号と人物を丸暗記して受験を終えると、もう源平合戦も鎌倉幕府の成立も、過去の話となりました。いやもちろん、過去の話なんですが。


戦乱の時代の歴史はおもしろいはずですが、この時代が今ひとつ注目されないのは、本来は英雄であるはずの平清盛と源頼朝が、どちらも後世から人気がないからではないか、と思ったりします。人気があるのは源義経くらいで、清盛は驕る平家の象徴、頼朝は弟殺しの冷徹な政治家、というイメージでしょうか。

織田信長や豊臣秀吉のような、主役を張れる人気者が、源平合戦には不足しています。

そして戦乱に終止符を打つのが、北条義時という、これまた歴史的には地味な人物です。義時と泰時は間違えやすいので要注意です。

承久の乱で、後鳥羽上皇の挙兵に対し、幕府軍が圧倒的な兵力で打ちのめしたのが、北条義時。そのくらいは、私も暗記しました。その詳細について、鎌倉幕府成立からさかのぼり、述べていくのが本書『承久の乱』です。



実際の戦乱の部分よりも、北条家が権力を獲得していくまでの経緯にページが割かれています。自分としても、そこが一番よくわからなかった点なので、興味深く読めました。

おそらく、私以外にも、この「源氏から北条家」の経緯がよくわかってない人が多いと思います。北条家が源氏から権力を簒奪したように思っている人も多いですが、そんな単純な話ではなさそうです。そのあたりを、本書はわかりやすく示してくれています。

後鳥羽上皇の挙兵も、この「源氏から北条家」の延長線上にあります。それがよくわかりました。

承久の乱(本郷和人・文春新書)

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