シベリア鉄道9400キロ 宮脇俊三著 角川文庫

古書店に行ったときに、たまたま105円本で見つけたので買って置いた。この本が現在絶版なのか知らないが、宮脇氏は数年前に亡くなってしまったので、やがて絶版になるだろうと思い、手元に置いておくために購入。



この本が出版されたのは1983年のことだ。僕が中学生の頃で、図書館で借りて読んだ記憶がある。この少し前に、NHK特集で「シベリア鉄道」という名作が放映され、この本を読み、僕はシベリア鉄道にとても乗りたくなった。7年後の1990年に、実際に僕も乗車した。そのときに再読したはずだから、18年ぶり3回目の読書ということになる。

あらためて読んでみると、宮脇氏の執筆への気合いというか、心意気の感じられる作品である。作家デビューしてまだ間もないころだろうか。風景や出来事の描写に力があり、引き込まれてしまう。

本来、シベリア鉄道の旅というのは、何も書くことがない。ひたすら鉄道に乗っているだけで、しかも景色は単調だからだ。ロシア語ができるのならともかく、できないのなら、ロシア人の話もそうは書けない。僕もシベリア鉄道について語れと言われても、ちょっと困る。それを本1冊分書ききっているのだから、まあすごい。

そして執筆から四半世紀が経った、という目線で見るとまたおもしろい。

昔は、外国人はナホトカからしか乗れなかったし、列車にも外国人専用レストランがあった。しかし、今はウラジオストックから乗れるし、外国人レストランも廃止されただろう。何より、社会主義ソ連という国が崩壊し、いまは資本主義国家ロシアである。時を経て、この本は、鉄道から見た文明の記録にもなっている。

古い本だし、誰にでもオススメするわけではないが、読んでみて損はない一冊だと思う。

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