札沼線初乗り (2009新春北海道旅行・その1)

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札沼線は奇妙な路線です。

札幌から西へ向かって出発し、すぐに北上する鉄道なのですが、やがて方向を東へ変え、最後は函館本線の滝川駅の近く3キロくらいの距離にある新十津川駅で終わります。なんでこんな非合理的な経路の路線が敷かれたのでしょうか。

そもそも、鉄道というのは、どこか目的地があってそこに向かってがむしゃらに伸びていくものなのですが、札沼線には「目的地」というものが見あたりません。さんざんぐるっと大回りして、終点の新十津川駅に78キロ2時間以上かかってたどりつきます。ところが、新十津川駅から札幌に行くには、3キロ離れた滝川駅までバスで行き、滝川駅から函館本線の特急に乗れば50分です。新十津川から札幌まで札沼線を使う人は、鉄道ファンをのぞけば皆無でしょう。

歴史をたどると、戦前、新十津川に東武という代議士がいて、彼が衆議院議員の予算委員長のときに無理矢理予算を通して作ってしまった、ということらしいです。時代が違うとはいえ、すごいですねえ。いまは新十津川で途絶えていますが、かつては路線はさらに石狩沼田というところまで伸びていました。石狩沼田・新十津川間は、1972年に廃止されています。あまりに客が少なかったのでしょうね。

現在は、札幌-北海道医療大学間と、北海道医療大学-新十津川間に、運転区間は分断され、両者は別の路線のようです。前者は日中でも20分間隔で運転されていますが、後者は1日8往復。この8往復も区間運転が多く、終点新十津川にいたっては、1日3本しか列車が来ません。
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(新十津川駅の時刻表)
そりゃ、新十津川からわざわざこの路線を使う人がいないのはわかりますが、いくらなんでも減らしすぎです。ちなみに、この1日3本というのは、JR全体でも最少記録になるそうで、ここと岩手県の岩泉くらいしかないのではないでしょうか。

で、こんなたるい経路の鉄道路線でしたので、北海道好きの僕でもなかなか乗る気が起こらず、今回、初めて乗りました。それも、本当は乗る計画ではなかったのですが、函館行きの飛行機が欠航し、札幌に振り替えられて、1日札幌でヒマになってしまったので乗ってしまった、ということに過ぎません。暇つぶしの札沼線、というところでしょうか。

札幌9時55分発に乗車。途中の石狩当別行きで、キハ143の3両編成です。
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それなりに乗客はいました。札幌近郊は高架を走り、一部区間は複線です。でも、だんだん家並みが減ってきたなあ、と思ったら石狩当別。この列車はここまでで、1両編成の新十津川行きに乗り換えです。
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(右が乗ってきた札幌発、左が乗り換えの新十津川行き)

石狩当別駅前。雪がどかどか降っていて、人通りはありません。
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石狩当別11時15分発新十津川行きは、発車時は結構若い人が乗っていて混雑していました。が、その多くは、次の北海道医療大学で降りてしまいました。途中からは、鉄道ファンばかり4組7人に。鉄道ファンがいなければ、誰も利用してない札沼線末端区間でした。

線路は石狩川に並行して、石狩平野を奥へ奥へと敷かれています。そのため、景色は単調で、遠くに山地が見える以外は、これといった特徴はありません。ひらたくいえば退屈です。

終点新十津川は、ご覧のような小さな駅。こんな駅にも昔は駅員がいたんですね。いつから無人駅になったのか知りませんが、1980年代までは駅員がいたようです。
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無人駅どころか、札沼線の末端区間は、路線自体が廃止されてもまったく不思議ではないでしょう。残ったとしても浦臼までで、浦臼-新十津川間は酔狂で運行しているとしか思えません。もう東武さんも亡くなったことだし、JR北海道が「そろそろ……」と言い出してもおかしくはないでしょう。

新十津川駅からは、歩いて5分ほどのところに新十津川役場前というバス停があり、1時間に1~2本のバスがJR函館本線滝川駅まで出ています。4組の乗客のうち、僕ともう一組がこのバスに乗り、1組はタクシーでどこかへ去り、札沼線で折り返したのは1組だけでした。

(2009.1.11乗車)

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