釧路から根室を結ぶのは「花咲線」です。正式名称は根室本線なのですが、同線は札幌方面からの列車はすべて釧路で打ち切られてしまい、釧路・根室間は独立した運行形態にになっており、この名称が付けられています。根室本線という名称があるのに根室駅では根室本線と呼んでもらえないわけで、なんだかかわいそうな話です。

釧路発8時15分の根室行き。車両はキハ54という国鉄末期のステンレス車です。内部は転換式クロスシートですが、シートと窓の間隔があってない。シートだけ付け替えた感じですね。後で調べてみたら、快速「海峡」のオハ50系のシートを再利用したものだそうです。

さて、列車は3組4人の観光客と、数名の地元客を乗せて発車。釧路市街を抜けると、ひたすら白樺の林と原野が続きます。厚岸のあたりは、荒野の海岸に雪が降り積もり、荒々しい情景。ロシア的です。

こういう景色を見ていると、もし、樺太や千島がいまも日本領だったら、もっとこういう景色を「日本」で見れただろうな、と思います。昔の領土のことを想ってもしかたないのですが、やっぱり千島・樺太はもったいない。もし、千島がまだ日本領なら、その連絡路となる花咲線ももう少し栄えていただろうな、と想います。

厚岸湖には、丹頂鶴が見えました。厚岸をすぎたあたりで一般客は全員いなくなり、旅行者4人だけになりました。風景は単調なので、あまり書くこともありません。茶内という駅ではすれ違いで5分ほど停まったのですが、向かいのホームに親娘連れがいて、列車に娘だけが乗っていきました。昨日が成人式だったので、娘はたぶん20歳で、里帰りしていたのでしょう。なんだかちょっとほんわかします。

列車が急にスピードを落としました。エゾシカが線路にいたようです。花咲線では、動物の衝突もたまにあるそうです。
天候はめまぐるしく変わります。基本的には晴れなのですが、ときおり雲が多い、雪が降ったりします。さすが道東ですね。
厚床あたりから、ぽつぽつと高校生くらいの男女が私服で乗ってきます。初田牛、なんていう、駅の辺りには何にもないところからも、女子高生が一人乗ってきて驚きました。雪の中から湧いてきたようです。
また列車が速度を落としました。今度は鳥の群れで、よく見るとオジロワシのようです。写真では見たことありますが、実物は初めて。すごい、列車から天然記念物見られるなんて、さすがは花咲線です。
10時36分東根室着。ここは日本最東端の駅で、降りてみます。高校生たちもここで降りました。近くに根室高校があり、その生徒なのでしょう。通学時間にしては遅いですが、まだ冬休みなのかも知れません。北海道の冬休みは本州より長いのでしょう。


東根室は、ホーム1面があるだけの無人駅です。駅舎くらいあったらいいのに、と思います。吹雪のときとか、高校生たちはどうやって列車を待つのでしょうね。

「日本最東端」ということをのぞけば、どうということもない駅なので、写真を撮ったらお別れです。坂を上がったところに通りがあり、すぐにバス停が見つかりました。「光洋中学校前」というバス停です。1時間に1~2本運転されていて、都合のいいことに10時46分のバスにすぐ乗ることができました。
そして、根室駅に11時頃に到着。小さな駅ですね。

駅には11時03分発の快速「はなさき」が停まっています。予定では次の列車で折り返すつもりでしたが、飛び乗ってしまいました。根室には、以前来たことがありますが、市内には見所も時間をつぶすところもなく、本当にヒマなのです。なので、行けるなら別のところにさっさと行こう、ということなのですね。ごめんなさい、根室。
(2009年1月13日乗車)