翌日、ピンクドルフィンという、派手な名称のボートに乗って、父島沿岸ツアーにでかける。

まず、南島へ向かう。珊瑚礁の隆起や沈降によってできた沈水カルスト地形の島である。アオウミガメ、カツオドリ、オナガミズナギドリなど繁殖地でもあり、小笠原が世界遺産に登録されるとすれば、もっとも重要な地位を占めるであろう。上陸禁止になる前に、さっさと上陸してしまおう大作戦なのである。
が、波が高くて上陸できない。残念。

引き返して、兄島へ向かう。ここは、現在は無人島だが、戦前は有人島で、なんと捕鯨基地があったそうだ。その遺構がいまも残されている。
捕鯨基地があったという、兄島の滝之浦。

当初、小笠原空港はこの島に作られる予定で、この海岸から資材も荷揚げする予定だった。空港予定地は崖の上で、海岸から崖に斜行エレベーターを作る構想だったそうな。土木工事ってすげえな。そして無茶。みんなそう思ったらしく、この空港構想は立ち消えになった。
戦前からと思われる桟橋は細いので使用せず、砂浜に上陸する。

海岸に船らしきものがある。

さらに、捕鯨設備が。

レンガ造りのものはクジラの脂肪から鯨油を採るために使っていた炉のあとだそうだ。下に開いている口が、薪をくべる窯。レンガの上に鍋をかけ、そこに切り取った脂肪を入れて熱して油を採ったという。となりにあるのが、タンクなのだろうな。戦前は、鯨油は重要な資源だった。
捕鯨基地があった周辺は、すでに草むして、ラピュタの世界である。錆びているのは、捕鯨船への給水設備であったようだ。

沈没船もあり、遺跡的には美しい景観である。

兄島の近くでは、クジラも見ることができた。残念ながら写真はない。
かわりに、シュノーケリングの写真を。

泳いでいるほうは楽しいのだけれど、端で見てると、「なーにちゃぷちゃぷやってんだか」と思ってしまいます。はい。でも、きれいでしたよ。