さて、西表島といえば原生林である。
学生時代に、この原生林を歩いて縦走した。登山道ではなく、沢づたいに登って降りてきたのだが、これがまあつらかった。道はないから、地図を頼りに藪を漕いでいくわけだが、道はぬかるんでいるし、ヒルが木から降ってきて首の血を吸う。ヒルは肌に吸い付くと、なかなか取れないし、取っても殺すのが面倒くさい。潰しても死なないのだ。ライターで焼くの効果的だが、じりじり焼いていると、吸われた自分の血の焼ける匂いが、なんとも気分が悪かった。
最後は、マングローブの干潟を歩いたのだが、これが足が泥にずぼずぼと嵌り、重くて先に進めない。わずか3日だったと思うが、結構大変だったのを覚えている。まあ、おもしろかったけれどね。手軽な探検でした。
今回は、原生林に分け入るような装備は持ってきてないので、山には入らない。あの山をもう一度歩いてみたい気はするが、そう簡単な話ではない。舐めると死んでもおかしくない難路である。が、せっかくなので、観光船で川を登ってみることにする。
西表島に着いた翌日、残念ながら雨であるが、浦内川の船でさかのぼる。マングローブの林に挟まれた川で、ちょっとしたジャングル気分である。

こんな林をよく歩いたなあ、と学生時代を思い出しながら30分ほどで、中流の船着き場に着く。ここから先、遊歩道があって、マリュードの滝まで歩けるが、雨なのでやめる。学生時代に来た気がするが、原生林を歩くのに比べてあまりにちょろかったので、よく覚えてない。なので、もう一度行きたかったが、雨の中を歩くほどではない。
それから西表島を半周して(1周は道路がないのでできない)、時間が余ったので由布島へ行く。ここは水牛車で渡る島として有名で、僕も水牛に乗ったが、まあそれはどうでもよい。ここは、かつては有人島で、小学校もあったというのだが、水害で無人になってしまい、それがさらに植物園に改造された、というところである。
で、その小学校跡があるので、行ってみた。

門だけが残されている。母島もそうだったけれど、廃村の最もよく残されている遺構は小学校のようだ。それ以外は、全く残っていない。
これで、西表島は終わりである。ほとんど何にもしてないが、何もしなくても旅の一日は終わる。そんな西表島でありました。