福北ゆたか線を乗り終えた日、そのまま博多に向かい、地下鉄に乗り継いで、ヤフードームに行った。最近贔屓にしているイーグルスとの一戦があったからだ。

ヤフードームは初めてである。地下鉄の唐人町で降りて、少し寂しげな通りを10分ほど歩いたら到着する。ドームシティは、商業施設が集まって賑やかである。
施設内のスーパーでビールを買い、マクドナルドでポテトとハンバーガーを買って、観戦する。
普段は内野席で見ることが多いが、ここではほとんどがホークスファンと思われるので、今回は外野のイーグルスの応援席の近くに座った。外野席なんて、10年ぶりくらいである。
イーグルス応援席、といってもユニホームをを着ているのは20名程度であった。観客は2万人くらいいたが、そのうちたった20名である。周囲はすべてホークスファンであった。

ただ、パリーグの場合、ファン同士で険悪な雰囲気になることはまずない。パリーグファンは、お互いに相手球団を尊重する風土があると思う。甲子園で巨人ファンが雄叫びをあげると、阪神ファンは白い目で見る気がするが、ヤフードームではそのような目線を感じることはなかった。むしろ「おお、相手もやってるなあ、がんばれ」という感じである。鉄平が打席に入ったときは、ホークスファンまで「てっぺーい!」と叫んでいた。これは、パリーグの美風だろう。
ヤフードームは、まとまりのあっていい球場だったと思う。札幌のような「暗さ」がないし、大阪のような「寂しさ」もない。東京のような「狭苦しさ」もない。名古屋は行ったことがないから知らないが、国内のドーム球場では、最も質の高い設備の気がした。
ゲームは惨敗だった。外野席に、ソフトバンクのホームランボールが3発くらい飛んできて、そのうちの一つが僕の2席前に落ちた。近くにいた男がワンバウンドで取り、近くの子供にあげていた。いい光景である。
僕はと言えば、直撃を食らわないように、身体をくねらせて逃げてしまった。夜、野球ニュースを見ると、身体をくねらせている自分の姿が、モニターに映っていて、ちょっと情けなかった。