桂川-原田 20.8km

筑豊本線のうち、桂川・原田の区間だけを「原田線」という。この区間は「福北ゆたか線」とは完全に分離され、電化もされていない。いまや、筑豊本線という名前は、線路戸籍だけのものとなった。
原田線には、1982年の冬に乗った。この旅のほとんどは記憶から消えているが、早朝、まだ暗いうちに、原田駅に降り立ったことだけを覚えている。たぶん、当時あった鹿児島本線の夜行急行「かいもん」でやってきたのだろう。
真っ暗な原田駅の記憶だけが、脳裏に焼き付いている。何か、印象的だったのだろう。
当時の車両は覚えていないが、たぶん50系客車だっただろう。が、いまは単行の気動車が走るだけである。
この区間は、冷水峠を通る難路である。難路であるから衰退した路線なのだが、そのぶん景色はおもしろい。薄いバラストの上の急勾配を登り詰める旅は、引き込まれる魅力があった。

が、4駅30分足らずの短い旅である。峠を抜けると、遠賀川の流域に入り、桂川にたどり着く。ここは、もう福岡市の近郊である。