インクライン(未公開黒部ルート旅行記7)

黒部川第四発電所(インクライン下部)-作廊(インクライン上部) 0.8㎞

黒部川第四発電所駅では、上部専用鉄道線のレールはさらに奥まで少し延びて途絶えている。そこが、黒部ルートの次なる輸送機関・インクラインの乗り場である。

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インクラインとは、英語で「傾斜」という意味である。いわゆるケーブルカーだが、鉄道事業法による認可を受けてないものは、こう称するらしい。二本の軌道の上を走る輸送機器が、鋼製のケーブルによってつり上げられるというシステムは、ケーブルカーと変わらない。

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ステンレス製の車体が渋く銀光りしている。内部は乗り物と言うより、待合室のような感じである。

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総延長はわずか815メートルだが、斜度は34度で、標高差は456メートルある。

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11時40分発。写真を撮っていたら急かされた。これにも時刻表があるようだ。

ゆっくりゆっくり登っていく。途中で、上から降りてきた車体とすれ違う。このとき、相手の車体の大きさに驚いた。じつは、乗客が乗っている客室は輸送設備のほんの一部で、全体は3倍くらいの高さがある。客室は取り外し可能で、変わりに荷物運搬用の設備を設置することも可能だそうだ。一般のケーブルカーよりも、汎用性が高い「輸送設備」なのである。

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所要時間は20分である。分速20メートルほどだから、遅い。もし、黒部ルートを一般開放するとすれば、ここが一番のネックになるだろう。客室の定員ははっきりとはわからないが、40名にも満たないと思われる。所要時間20分ならば30分間隔の運行しかできないから、1時間あたり70~80人の輸送能力しかない。これでは、多客期の客をさばけないだろう。装置を一新して高速化することは可能だろうが、莫大な費用がかかるだろう。

それにしても、標高差400メートル程度なら、なぜここもエレベーターにしなかったのだろう。こんな大がかりなケーブルカーを作るよりも、大型エレベーターのほうが輸送効率は高いのではないか、という気もするが、どうなのだろう。

20分の乗車を終えて、インクライン上部駅に到着する。12時。ほんとにスケジュールがぴったり定刻である。

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これで、黒部ルートのハイライトは終わった。あとは、黒部トンネルをバスで抜けるだけだ。

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