赤湯 - 荒砥 30.5km

左沢線と繋がるはずだったのが、このフラワー長井線。もともとは国鉄長井線だったが、特定地方交通線に指定され、1988年に第三セクターの山形鉄道に移管された。
山形から奥羽線に乗り、赤湯へ。山形新幹線の開業に伴ってできた豪華なJR駅舎の反対側に、山形交通の小さな駅舎がある。

左沢線は県都山形市から伸びる路線なので、通勤通学需要もあり、利用状況も悪くないようだ。が、この長井線は、山形市への方向性を持たない路線なので、苦戦している。沿線の中心都市長井から山形へは、バスを使った方が早くて便利だ。そのため、長井線は米沢方面への流動を重視しているようで、山形からの乗り継ぎはあまりよくない。
赤湯でだいぶ待って乗車。車両はYR880刑という気動車で、1988年の開業時に導入されたものだ。もう22年も同じ車両を使っていることになる。車内のシートは柔らかいが、くたびれている。赤湯発車時点では空いていたが、二つ目の宮内からたくさんの高校生が乗り込んで混雑する。宮内駅の近くには県立南陽高校がある。
今泉で米坂線と接続。2面4線あり、ターミナルの雰囲気を残している。そこから男性の販売員が乗ってきて、車内販売を始める。売っているのは鉄道グッズばかりで、完全に観光客向けであった。乗っている観光客は僕を含め2人だけであるから、さっぱり売れない。売れないけれど、1両編成の車内を行ったり来たりしている。なんだかかわいそうになる。
長井で半分くらいが降り、そこから先も少しずつ乗客は減っていく。最上川沿いの平地に沿って田園地帯を進む。終点荒砥の手前で立派な3連のトラス橋を渡るが、これは大正10年に竣工した国内最古の鉄道橋である。トラス自体は1886年にイギリスで製造され、東海道線の木曽川橋梁に当初使用されたものを、ここに移築したのだそうだ。明治中期の製造物だそうで、土木学会の選奨土木遺産に指定されている。気動車はがらんがらん、と派手な音を建てて、貴重なトラス橋を渡っていく。
ちなみに、先の左沢線にも最上川橋梁があり、これも同時期の同様のトラス橋である。左沢線のものは、日本鉄道(現在の東北本線)で使われていたものだという。

(写真はhttp://www.lococom.jp/mt/metib094/より引用)
終点荒砥は新しい駅舎で、公民館のようである。車庫があるが、こちらの建物は少し傷んでいる。駅舎は行政の補助で作られるのだろうが、車庫はそうはいかないのだろう。