タイ・マレーシア国際特急の終点がバタワースである。

バタワースは人口10万人くらいの中都市だが、沖合にあるペナン島は人口70万人の大都市である。バタワース駅からペナンまでフェリーが頻発していて、鉄道連絡船の役割も担っている。実際、バタワースで降りた国際特急の乗客のほとんどは、フェリー桟橋へと歩いていった。
フェリーでの船旅は20分ほどだが、海峡の景色は美しい。

ペナンは、旧英領植民都市である。香港、シンガポール、コロンボなどと並んで、アジアにおけるイギリスの拠点の一つであった。そのため、いまも旧植民地時代の面影が残っているそうで、旧市街のジョージタウンの街並みは世界遺産にも指定されている。
コーンウォリス要塞は、植民地時代の軍事的拠点である。が、残されているのはほとんど壁だけで、保存度は低い。

これは市役所。1903年建築で、コロニアル様式である。ほかにも、コロニアルな建物はいくつかある。

旧市街を歩いてみるが、街並みは香港の路地と同じような雰囲気がある。しかし、雑然としていて、全体的には、それほど興味深く感じられることはない。ガイドブック的に書けば、「猥雑さが魅力」といったところであろうか。でも、発展途上国を歩き慣れた人なら、とくに魅力は感じないだろう。

ちょっとおもしろかったのが、コムダという商業施設。バスターミナルも併設されているペナン最大のショッピングモールである。写真はその中心だが、見た目の華やかさに反して、人は少ない。上層階はすでにゴースト化しているのがわかるだろうか。

この中心に面したモール以外は文字通りシャッター街であった。発展途上国でシャッターモールを見るのは初めてである。この商業施設は、立地も中心街から微妙に離れていて、建物内の動線にも難がある。そうした施設は淘汰されていくのが先進国だが、マレーシアも先進国に近い位置にいるということだろうか。
ちなみに、ペナンで宿泊したのは
ブロードウェイ・バジェット・ホテル(Broadway Budget Hotel,Penang)である。ダブルルームしか空いてなかったが、60リンギット(約1800円)であった。インド系の経営で、インド人街と中国人街の境目にある。港まで歩いて5分ほどで、便利で清潔であった。地球の歩き方には出てないが、旧市街の中級ホテルとして推薦できる。
マラッカ ペナン 世界遺産の街を歩く