ペルーの沿岸部の古代遺跡は、ここ十数年で急速に発掘が進んでいる。その結果、次々と新しい事実がわかってきている。
いままでペルーの遺跡といえばインカばかりが注目されてきたが、インカはせいぜい16世紀頃の新しい文明。それに対し、沿岸部の文明は古く、たとえば地上絵でしられるナスカは紀元前2世紀から6世紀頃とされてきた。
しかし、今日放映されたNHK「ハイビジョン特集 古代アンデス “第五の文明” ~ペルー・カラル遺跡~」によると、同じ沿岸部にあるカラル遺跡は、なんと紀元前3000年前の遺跡だという。事実とすれば(事実なんだろうけれど)、古代エジプトなどと同じくらいの、世界最古の文明のひとつということになる。
カラル遺跡や古代アンデス文明についてわかっていることは少なく、そのため番組自体は冗長だった。しかし、日本ではまだあまり紹介されてないカラル遺跡の豊富な映像を見ることができたのは大きな収穫だった。大型のピラミッドが10もあるのにも驚いた。紀元前後のメキシコのピラミッド群つながりはあるのだろうか?
謎多き新遺跡に、ぜひ訪れてみたいとは思うが、映像を見る限り観光客はいない。まだ一般公開はされていないのだろうか。それとも、たんに観光客が来ないだけなのだろうか。
ちなみに、古代アンデスに関しては、最新の知見を集めた新書が出た。「
古代アンデス 神殿から始まる文明
」(朝日選書)である。ペルーにおける日本人の考古学者が積み上げた学術調査の成果が集められた好著である。
以下、番組案内(
NHKハイビジョン特集ホームページより)
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ハイビジョン特集 古代アンデス “第五の文明” ~ペルー・カラル遺跡~
BShi 1月16日(日) 午後10:50~午前0:20
古代アンデス文明。世界四大文明と同時期に南米ペルーを中心に栄えた、いわば「第五」の古代文明である。近年の発掘調査で、これまでの文明観を覆す新事実が明らかになってきている。
なかでも注目は海岸部にある紀元前3000年頃のカラル遺跡。10のピラミッド(神殿)が立ち並ぶ壮大な都市遺跡だが、四大文明のように大河流域に栄えたわけでもなく、武器や壕など戦争の痕跡もない。「大規模な灌漑農業で富の集積と社会の階層化が進み、文明が発展した」とする従来の文明観があてはまらないのだ。カラルは古代アンデス文明の「マザーシティ(発祥地)」ともみられ、2009年に世界遺産に指定された。
また2007年には、鮮やかな装飾壁画が描かれたベンタロン遺跡も見つかり、古代アンデス文明のルーツ解明が熱を帯びている。
今回、ペルー側の全面協力を得て、カラル遺跡・ベンタロン遺跡の発掘調査に密着。これまで日本でほとんど紹介されてこなかった古代アンデス文明の実像に迫り、その起源をめぐる謎を探っていく。
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