苫小牧- 様似 146.5km

日高本線には高校時代に乗ったことがある。途中新冠のユースホステルに泊まり、襟裳岬を経て広尾に抜けた。広尾から当時はまだ運転していた広尾線に乗り、帯広まで行ったと思う。
あまり印象のない路線で、もう一度乗りたい、と格別に思ったことはない。しかし、いまや貴重な北海道の長大ローカル線である。北海道新聞の記事によると2009年の日高本線の輸送密度はわずか346人/日・キロだそうで、いつ廃止になってもおかしくない水準でもある。今のところ廃止の具体的な議論にはなっていないようだが、この数字では、明日廃止が決まっても驚かない。それもあり、北東パスで札幌まで来たついでに、乗ってみようかと思う。
札幌から千歳線で苫小牧に下る。日高本線は1番線からの発車。キハ40が単行で入線している。昭和55年の新潟鐵工所製で、車齢は30年を越えている。
8時台の列車だけあって、ボックスシートが埋まるくらいの乗客は乗っている。しかし、ほとんどが鵡川までに降りてしまった。あとは、鉄道ファン数人と、地元客数人が乗るだけである。
鵡川は、1986年に廃止された富内線が分岐していたところである。富内線は廃止の1年ほど前に乗った。渓流沿いに日高山脈に分け入っていく路線で、車窓からの眺めの美しかった印象がある。
残された日高本線の車窓も悪くない。海岸沿いを走る区間が多い路線で、車窓から眺める冬の太平洋は美しい。雪の積もった海岸に、朝の光が反射している。ただ、海岸線が直線なので、起伏に富んだおもしろさはない。

1時間半ほどで静内に着く。日高本線の中心駅である。16分の停車。建て替えられた小綺麗な駅舎には、蕎麦屋があるので食べてみる。朝の暖かい蕎麦はおいしい。

静内から先はさらに乗客が減る。浦河の前後で乗り降りがあったほかは、ほとんど鉄道ファン数人だけである。苫小牧から3時間以上かけて、ようやく終点様似に着く。
車内を撮ってみる。昔ながらの気動車である。

様似の駅舎は、コンパクトながらこざっぱりしている。

遠くに日高山脈が見えた。雪を被って美しい。様似の市街は、太平洋岸だからか、それほど積雪はない。
北海道ローカル列車の旅