様似から襟裳岬へは、JR北海道がバスを走らせている。様似から広尾まで抜ける鉄道路線計画があった名残であろう。1日4~5便だけだが、数少ない日高本線の列車との接続はよい。

11時35分発のバスに乗る。乗客は数名で、様似市内でさらに数人の客を拾って市外に抜ける。国道336号線をひたすらえりもに向かう。太平洋沿いの美しい道である。
えりもの市内で数人の客を降ろし、僕ともう一人の観光客だけが襟裳岬まで乗車した。様似から約1時間である。
襟裳岬は観光地だから、レストハウスの一つでもあるだろう。そこで、食事でもしようかと思っていたのだが、甘かった。冬の襟裳岬で開店している店など一つもない。人の気配はなく、駐車場には数台の車が止まっているだけである。

岬へ登る道も雪が積もっている。

とはいえ、せっかくなので、雪をかき分けながら、展望台に登る。
雪に残されている足跡は、キツネのものだけだ。
灯台の姿は、凛として心に残る。

岬から望む太平洋の荒々しさ、澄んだ風、雪の白さ。それらもすべて印象的だ。

……しかし、寒い。
あまりにも寒い。
そして風が強くて、そう長く立っていられる場所ではない。
ほうほうの体でバス停まで戻り、折り返してきたバスで様似へと戻った。
北海道ローカル列車の旅