南大東島シュガートレインの線路は、もうほとんど残されていない。廃線後30年近くも経つのだから、仕方あるまい。ただし、現在でも、シュガートレインの廃線跡を島内の至る所でみることができる。
まず、車両が保存されている「ふるさと文化センター」前の細い道路が、西線の廃線跡である。この廃線跡をたどっていくと、左手に機関庫跡があり、さらに歩くと現存する砂糖工場にたどり着く。

砂糖工場の前が広い駐車場になっているが、このあたりが当時の荷さばき場だったに違いない。側線が何本もあったのだろうか。

今度は、西線の跡を逆にたどって海に向かう。集落をでるとサイクリングロードになっている。ゆるやかなカーブは、ここが鉄道線路であったことを物語る。

西線は、西港まで延びていた。港湾は年が経つにつれて整備されていくからか、西港近辺では、サイクリングロード以外の廃線跡はよくわからない。開拓記念碑のある広場があり、そのあたりが終点跡のようだった。

集落に戻り、環状線の西部分に向かう。かつて北線と呼ばれていた区間だ。宮脇俊三の「
鉄道廃線跡を歩く(第5巻) 
」に掲載された国土地理院の古い地図をみると、この区間の線路は、島の環状道路と並行してして敷かれているのがわかる。その廃線後は、現在は歩道にされている。そのため、廃線跡がはっきりとわかる。歩行者なんてほとんどいないはずの島の道路に、延々と歩道があるのは、線路の名残というわけである。

北線が市街地に入る直前に、わずかに軌道のレールが残されている部分をみることができた。

このほかにも、島の各所にこうした小さな「線路跡」があるそうだが、僕が見つけることができたのはここだけである。
鉄道廃線跡を歩く