南大東島のおみやげをあげるとすれば、羊羹(ようかん)と黒糖の二つになるだろう。
まず、大東羊羹。羊羹は小豆を使ったお菓子で、ルーツは中国だ。それがなぜ南大東島の名物なのかというと、八丈島から入植してきた人たちに羊羹を家庭で作る習慣があったかららしい。それが販売されるようになって、名産になったという。
おもな製造元は田仲商店、菊の井商店、お菓子のまつだ、の3つ。それぞれ製法も味も微妙に違うらしく、「これが大東ようかんだ」という定義はないようだ。僕が購入したのはおかしのまつだのもの。「
しまの種自慢」に掲載された取材記事よると、いまの昔ながらの製法を続けていて、1日40本しか作れないという。

味は「あずき」「えんどう」「抹茶」「黒糖」「塩黒糖」の5種類。僕が購入したのは沖縄ならではの「黒糖」である。
包丁で切ってみるとジャリジャリ音がする。切り口にも、砂糖が浮いている……。ちょっと甘過ぎそうだな、と思って口にしてみた。

……美味しい。
これはすごく美味しい。
東京で売っている工業製品の羊羹ではあり得ないような、柔らかな味がする。黒糖の風味も失われていない。そして、甘いのに、くどくない。バクバク食べれそうでキケンですらある。
ちなみに、原材料はえんどう豆、黒糖、砂糖、寒天のみ。小豆を使ってないのは意外である。添加物はもちろんゼロ。
南大東島で、ナンバーワンの食べ物は、この大東ようかんで決まり!
もうひとつ、黒糖も南大東島名産である。
が、これはじつは南大東島ではほとんど売っていない。売っているのは、パッケージされたおやつ用のものだけである。

ブロックの黒糖がほしかったのだが、いくら探しても見あたらなかった。聞けば、ホテルよしざとで販売しているときもあるのだが、僕が訪れたときは売っていなかった。島じゅうで栽培しているサトウキビから作る黒糖を、島で購入できないというのは、ちょっと残念である。