週刊ダイヤモンド4月16日号(4月11日発売)に掲載された八田達夫のコラムが的を得ている。
タイトルは、「原子力政策の最大の誤りは“文民統制”できなかったこと」。
簡単に書くと、「原子力村」の専門家集団に部外者が介入できなくなり、「原子力村民」が彼らの都合だけで原子力政策を事実上決定してきた。それが今回の事故の要因のひとつになった、ということである。
東京電力の対応をみて、戦前の日本の陸軍を思い浮かべた人は僕だけではあるまい。事態の過小評価、決定の先送り、場当たり的対応、戦力の逐次投入、そして「大本営発表」のオンパレード。まったく日本的組織の欠点は戦後60年経っても変わらないのだな、と思わずにはいられなかった。それを八田氏は「文民統制の欠如」と喝破したわけである。
今回の事件で、原子力の正否は国家の命運すら左右することが痛いほどよくわかった。ならば、八田氏の指摘通り、「原子力村民」は軍人同様、“文民統制下”に置かれるべきだろう。
ところで、いまや福島原発はアメリカによって「占領統治」されてしまった観さえある。いっそ、米軍がそのまま東電も統治してくれないかとすら思う。
かつて、GHQは陸軍を解体した。同様に東電を解体して「自衛隊」に再出発させてほしいと願ってしまう。残念ながら、日本の政治では、そこまでできないだろうから。