福江島の教会群(長崎世界遺産候補地旅行記10)

福江島には、13の教会がある。そのすべてを見ることは時間的に難しいが、歴史ある建造物を中心に見て回る。

福江市内でレンタカーを借りて、まずは堂崎教会に向かう。福江島で唯一、世界遺産の候補となっている教会である。
福江1

この地に司教が常駐したのが1877年で、これは五島列島では一番早い。その後、明治期における五島列島のキリスト教の中心となった。現在の教会堂の竣工は1907年。これも五島列島で最古である。

煉瓦造でゴシック様式の平屋。この後、五島列島では似た教会堂をいくつかみたが、それらの模範となったのがこの堂崎教会だそうだ。内部は白の漆喰に木材の柱が組み合わさり美しい。ステンドグラスのモチーフは椿で、赤が印象的である。他の教会堂と違い、この内部は資料館になっている。現役の教会ではない。
福江2

設計者は鉄川与助という。鉄川与助は長崎で数多くの教会堂建築を手がけた名工として知られ、長崎で教会堂巡りをしていると何度となく目にする名前だ。長崎のキリスト教徒の誇りなのだな、と思っていたら、彼自身は仏教徒だったそうである。

教会堂は入り江に面していて、近くには草原も広がる。桃源郷ともいっていいような、柔らかな雰囲気にも癒される。
福江3

続いて、水の浦教会。これは海岸から少しあがった高台にある。白い尖塔が青空を突き刺す様が美しい。1938年の建設で、これも設計は鉄川与助である。
福江4

島の内陸部に入ったところにある楠原教会。1912年の完成で、島内では堂崎教会に次いで古い。この設計も鉄川与助である。堂崎教会と外観はよく似ている。こちらのほうが若干新しいはずだが、古びて見えるのは、手入れの問題だろうか。堂崎教会は五島を代表する建築物だから、手入れがいいのだろう。
福江5

続いて、島北部の三井楽教会。この教会は1971年建立の鉄筋コンクリート造である。
福江6

外壁正面には大きなモザイク聖画があり目を引く。このモザイク画は陶器製だそうだ。内部は近代的な雰囲気で、通っていた高校にあった聖堂を思い出した。ステンドグラスが明るく印象的だ。このステンドグラスは2005年に完成したばかりだという。

三井楽教会は、かつてゴシック様式の木造教会だったのだという。それがシロアリ被害にあって建て替えを余儀なくされたのだそうだ。

続いて井持浦教会。ここにも明治期に建てられたロマネスク様式の古い教会があったそうだが、台風の被害を受けて建て替えられている。現在の建物は1987年築のコンクリート造だ。
福江7

井持浦教会には、日本最古のルルドの洞窟が残されている。以後、長崎各地に同様のルルドの洞窟と聖母像が作られた。
福江8

井持浦を訪れたあたりで、日が傾いてきた。福江島の教会堂めぐりはこれで終わりである。

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かまくら・じゅん
旅人。旅行総合研究所タビリス代表。日本と世界の世界遺産、鉄道、島などを取材中。→詳しいプロフィール

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