ニューヨーク駅前の安ホテルに宿泊した翌朝、ワシントンに向かう列車に乗る。乗ったのは11時発のアセラ・エクスプレスAcela Expressである。

アセラ・エクスプレスは、アメリカで唯一の高速列車で、ボストン-ニューヨーク-ワシントン間を最高時速150マイル(241キロ)で走りる。ただし最高速で走行できる区間はボストン近郊だけで、その他の区間では時速135マイル(217キロ)以下しか出さない。 それでも、時速200キロの鉄道は、アメリカでは早いほうだ。ちなみに、「Acela」とは「Acceleration」(加速)と「Excellence」(優秀)の造語である。

アセラの特徴は、むしろその車両にあるという。編成は電気機関車2台で客車6両を挟む動力集中式で、フランスのTGVなどと同じである。客車はファーストクラス1両、ビジネスクラス4両、カフェカー1両の固定編成で、普通車(コーチ車)は連結されていない。アメリカ東海岸のビジネス客を狙った「新幹線的」編成なのだ。

発車20分くらい前に駅に行くと、もう入線しているという。11時発のアセラは通常はボストン発なのだが、日曜日だったのでニューヨーク始発で、そのため入線が早かったようだ。

狭いエスカレーターでホームに降りて、空席を探して着席。こんなビジネス列車なのに自由席である。席の数しかチケットを売らないので、着席できない可能性はないのだが、それにしても指定席にしてほしい、とも思う。