ボルチモアには、鉄道博物館と並んで、もう一つ見所がある。というか、ボルチモア随一の見所といえば、ここマックヘンリー要塞Fort McHenryといえるだろう。

ここは、アメリカ国歌誕生の地として知られる。米英戦争中の1814年9月13日、イギリス海軍がこの要塞に向けて25時間に渡り艦砲射撃を加え続けた。その間、いくら砲撃を受けても星条旗は倒れず、これを見たフランシス・スコット・キーという男が感動して、星条旗を称える詩を詠み、後にメロディがつけられて現在のアメリカ国歌となったという。
それともう一つ、ここは隠れた激戦地である。第13回(1989年)のアメリカ横断ウルトラクイズの準決勝が行われたのだが、このときは途中で設問のストックがなくなるほどの長期戦となった。ウルトラクイズ史上最高といわれる名勝負が行われた場所なのである。
第13回アメリカ横断ウルトラクイズ・準決勝ボルチモア
http://www.nicovideo.jp/watch/sm418273http://www.nicozon.net/watch/sm418273クイズそのものの見応えもあったのだが、それ以上に、映像の背景にこの要塞が映し出されていて、その美しさにも目を奪われた。

そういうわけで、僕はこの要塞に一度は行きたいとかねがね思っていたのである。
さて、鉄道博物館からバスに乗って、インナーハーバーInner Harborに行く。そこでウォータータクシーWater Taxiに乗り換える。これで直通で要塞まで行ってくれるのかと思ったが、そうではなく、フェルズポイントFells Pointで降ろされて、さらに小型のウォータータクシーに乗り継いで、ようやく要塞に着いた。インナーハーバーから小一時間かかってしまった。

要塞の様子。



煉瓦造りで、米英戦争時に復元されている。
要塞自体はそれほど大きくはなく、それほどすごいと思わせるものはない。
将校の部屋。

兵卒の部屋。

結構恵まれているなあ。
この橋の手前あたりから、イギリス海軍は艦砲射撃をしてきたという。距離にして3キロほど離れていて、そのため、イギリス軍は死者ゼロ、打ち込まれたアメリカ軍も死者4人だけである。「米英戦争最大の激戦」などといわれ、国歌まで作られたわりには、たいした戦闘ではない。アメリカは他国に攻められた経験がほとんどないので、こういうのも激戦にされてしまうんだな、というのが偽らざる印象である。

外縁に沿って一周してみると、ウルトラクイズの行われた場所も発見できた。


美しく、静かな場所である。ここにトメさんやら長戸勇人氏やら永田喜彰氏やらがクイズやってたんだと思うと、ちょっと不思議だ。もう22年も前の話である。