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既報していた通り、寝台特急「日本海」と急行「きたぐに」が廃止が発表された。両列車の廃止はすでに早くから決まっていて、10月頃には関係者には広まっていた。「日本海」に関しては11月下旬に新聞報道もされていた。「きたぐに」に関してはこれまで報道されていなかったが、単にニュースバリューが小さいと判断されていただけだろう。583系定期列車の全廃は鉄道ファンには大ニュースだが、それ以外の多くの人には、そのニュースバリューは理解されない。
「ブルートレイン」は、過去24列車あった。今回の「日本海」の廃止で、そのうちの22種類が姿を消すことになる。
さて、「日本海」「きたぐに」廃止の第一の理由は、利用者の減少である。「日本海」の乗車率は54%、「きたぐに」に至っては28%であったという。これでは、どちらも廃止はやむをえまい。
利用者が減少した理由はいろいろあるだろうが、高速バスや飛行機の低価格化がすすみ、相対的に高価格になった寝台列車が選択されなくなってきた、というのが一番大きいと思われる。寝台列車も対抗して値下げしたいところだが、夜行列車の運行コストは高い。高速バスや飛行機とコストでは争えない。
つぎに、車両の老朽化もあげられる。「日本海」の24系も、「きたぐに」の583系も、車齢30年にもなるような古い車両を使用している。これでは、いつかは廃止せざるをえない。それが2012年だったということだ。
さらに、北陸新幹線の開業が近づいていることも理由になった。北陸新幹線の金沢開業は2014年度の予定である。それと同時に、北陸本線の金沢以東はJRから第三セクターに移管される。JR西日本はその準備にすでに取りかかっていて、少しずつ人員や設備を整理しはじめているようである。夜行列車の整理も、その一環のようだ。
JR西日本は、これで定期列車の夜行列車の運転からはほぼ手を引く。残っているのは「サンライズ出雲・瀬戸」と、隔日運転の「トワイライトエクスプレス」だけである。この両列車も、じつは存続が危ういようだ。
どちらの列車の利用率も「日本海」よりは高いようだが、かつてのような人気列車ではなくなっている。そして、車両の老朽化も進んでいる。とくに車両の劣化が激しくなってきた「トワイライトエクスプレス」は、北陸新幹線開業時までに廃止される可能性があり、長くもっても2015年度の北海道新幹線新函館開業までだというのが、多くの関係者の見方のようである。
「サンライズ出雲・瀬戸」は、新幹線の新規開業による影響は受けないため、問題は乗車率と車齢である。より人気のある「サンライズ出雲」でも乗車率は60%台後半のようで、この水準を維持できなければ危険水域であろう。車齢はすでに13年に達しているが、現状の乗車率で車両更新は考えにくく、車両の寿命とともに廃止される可能性がある。
なんだか暗い話になってしまったが、それでも筆者は、寝台列車が日本から全廃されることはない、と考えている。おそらくは「カシオペア」型の半リゾート列車は、どこかで生き残るだろう。逆に言えば、リゾート列車以外の寝台特急は、その役目をすでに終えている、ということでもあるのだが。
(以下記事)
寝台特急「日本海」と急行「きたぐに」定期運行取りやめ JRダイヤ改正
産経新聞 12月16日(金)20時29分配信
JR各社は16日、来年3月17日のダイヤ改正を発表した。利用客の減少と車両の老朽化に伴い、寝台特急「日本海」(大阪-青森)と寝台急行「きたぐに」(大阪-新潟)の定期運行を取りやめるほか、山陽・九州新幹線の直通便を増発する。
「日本海」は昭和25年に運転を開始。青い客車の寝台特急は「ブルートレイン」と呼ばれ、かつては人気を集めたが、廃止が相次ぎ、大阪駅を発着するブルトレは来春でなくなる。一方、36年に運転を開始した「きたぐに」は、57年から大阪-新潟間を結ぶ。いずれも年末年始など利用客の多い時期に臨時列車として運転する予定。
(以下略)