世界一番紀行「世界で一番大きな棚田~中国・雲南~」へ旅するには

「世界一番紀行 世界で一番大きな棚田~中国・雲南~」は、これまでの「世界一番紀行」とはちょっと趣が違っていた。

この番組は、国際連合食料農業機関(FAO)の定める世界農業遺産に登録されたことで有名になった「ハニ族の 棚田(たなだ)」をルポしたものだ。これは、中国雲南省紅河ハニ族イ族自治州にある広大な棚田群で、同自治州の元陽県、紅河県、緑春県、金平県に分布し、総面積は5万4667ヘクタールにも及ぶ。この棚田を俳優の大高洋夫が訪れたルポであった。

世界棚田
(写真はNHKホームページより)

これまでの世界一番紀行は、極端に暑かったり、極端に不便だったり、といった「極端な環境のルポ」が多かった。ところが、今回は何が極端というわけではない。ただ、棚田の面積が広い、というだけである。それでも、ルポはなかなか秀逸だった。

「棚田は貴重である」ということは、何となく誰もが知っている。とはいうものの、「何が貴重なのか」については、正直、景色を眺めるだけの旅行者にはなかなか具体的にはわからない。旅行ガイドやウェブサイトのホームページで字面を追っても、今ひとつ伝わらない。それが、この番組を見ることで痛切に理解できた。農業とは本来非常に手間のかかるものであり、その手間を合理化することで、先進国の農業は多くのものを失ってきた。そうした「失われ農業世界」がどのようなものだったかが、よく理解できたのである。

もう少し具体的に書くと、長い歴史がはぐくんだ伝統的な灌漑方式と農業生産方式が、「ハニ棚田」では、現在にまで伝えられている。要するに、河川、棚田、村、 森林が一体となった原始農業的な生態系が保持されているのである。

いうまでもないが、先進国の農業が伝統的な手法を失ったことが悪いわけではない。それは、私たちが茅葺き屋根の家になどもはや住めない、という程度の意味である。快適な合理性と引き替えに、私たちは多くのものを失った。それを失う前の原風景がハニ族の棚田には残されていて、それが画面を通じて伝わってきた、ということだ。その意味で、とても考えさせられる番組でもあった。

もう少し雲南の棚田のことを知りたいと思うが、あまり観光化されてない地域なので、詳述したガイドは日本ではまだない。池田栄氏の写真集「天上人―元陽棚田と少数民族」があるくらいだ。ただ、観光に力を入れ始めた地域のようなので、これからは観光地化していくかもしれない。



アクセスは雲南省の省都昆明からで、元陽まではバスで6時間ほどである。道路状態はよく、秘境というほどではない。日本から元陽の棚田を訪れるツアーも出ている。


ところで、番組に登場した旅人は大高洋夫である。このシリーズでは、大高の出演番組が一番安心して見ていられる。若干芝居がかったところはあったものの、今回も地元によくとけ込んでいて、好演していた。

ただ、ロケの時期は9月ということで、第三舞台の大事な解散公演前に、こんな怪我しそうなことしていて大丈夫なのかな?と思っていたら、やっぱり怪我していたらしい(笑)。

大高洋夫のブログ
http://hido703.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-2322.html

まあでも、芝居も見ましたが、動きでは怪我は感じさせませんでした。がんばりましたね。

番組で一つだけ残念だったのは、棚田の段数。1500段あまりという結果だったが、世界農業遺産の登録の際の報道では、3700段と報じられていたし、いろいろと調べると5000段という数字もあるようだ。大高が数え間違えたのではなく、ロケをしたところが、「一番段差のある棚田」ではなかった、ということなのだろう。でも、「世界一」の番組なのだから、5000段にチャレンジしてもらいたかったです。はい。


(以下、番組情報)

世界一番紀行 世界で一番大きな棚田~中国・雲南~
俳優・大高洋夫が“世界で一番大きい棚田”を訪れ、
一年で最大の喜びである収穫を体感

12月29日(木)放送
[BSプレミアム]後7:00~8:30
 中国・雲南省、ベトナムとの国境近く、紅河ハニ族イ族自治州にある「紅河ハニ棚田」は、総面積54000haを超える、国連食糧農業機関(FAO)が認定した“世界で一番大きい棚田”です。中でも最大規模を誇る元陽地区は、標高3000m近い山の麓から中腹一体に開墾され、高低差が500mを超える“世界一段差のある棚田”でもあります。稲刈りが佳境を迎える秋、俳優・大高洋夫がこの地を訪れ、一年で最大の喜びである収穫に密着。中国の秘境に培われた、たくましく、豊かな人間の営みと英知を体感します。
http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=11w18200120111229

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