車内探検をしてみる。
ご覧のように、B寝台は通路の両側に個室がある。通路はとても狭く圧迫感がある。

それでも、車両はとても現代的かつ清潔で、これほど洗練された寝台列車に乗るのは初めてだ。シングル以外の部屋ではソロを見ることができたが、これも狭いながらも快適そうである。
ただ惜しいことに、供食設備が全くない。食堂車はもちろん、カフェも売店もない。車内販売ももちろんない。清涼飲料水の自動販売機が設置されているだけである。その自販機の品揃えの、やる気のなさと言ったら……。

供食設備がないのは採算上の問題だとは思うけれど、食事は長距離列車の基本サービスなので、付けてくれないだろうか。独立採算で考えれば割にあわないのだろうけれど、基礎的なコストと考えてほしいところである。
その点、欧米の長距離列車では、供食設備か売店設備車両はほぼ必ず連結されている。「食事」は長距離移動の基本サービスという認識があるからだと思う。
これは、スウェーデンのストックホルムからナルビクへ向かう列車のカフェ。

20時間以上かかる列車だから、というのもあるが、こんなに立派なカフェが付いている。ただ、客はあまりいない。この列車のカフェの収支は赤字だろうけれど、供食設備とは収支だけではかれる問題ではないと思う。
どうしても難しいなら、せめて自販機のラインナップはもう少し充実してほしい。ドリップコーヒーとビールがあれば、だいぶ印象が変わる。
一方で、サンライズにはシャワー設備がある。食堂も売店もないけれどシャワーはある、というのは、日本的だなあ、と思う。ことに、夏はぜひ使いたい設備だろう。

とはいえ、あいにく今は真冬である。湯冷めが怖いので、今回は使わないでおく。
乗車率はよくわからない。全寝台が個室で、使っていてもいなくてもドアがしまっているからである。なんとなくだが、金曜日の晩なので、8割方埋まっているような気がする。
カフェも食堂車もついてないのは残念だけれど、それ以外はとても快適な寝台列車である。「走るビジネスホテル」という表現はあながち間違ってないと思う。