米子の駅前にあった、不思議なモニュメント。

「銀河鉄道999」かと思ったら、「山陰鉄道発祥之地」のモニュメントだそうです。
松本零士氏が米子市出身だから……、と思ったら全然関係ないらしい。
米子駅の近くで何か食べようかと思ったが、駅前は例によって衰退気味で、これといった飲食店は見あたらない。そのため、駅構内の「米吾」でうどんを食べる。

関西にしてはちょっとダシがきついけれど、まあまあ美味しい。「米吾」は鯖寿司が名物なのだけれど、夜にカニを腹一杯食べる予定なので、ここはうどんにしておきます。
米子からは、特急「スーパーまつかぜ8号」。2両編成で、2駅走れば終点という、短距離ミニ特急である。
車両はキハ187。新型の振り子式ディーゼルカーである。

これから乗る山陰本線の米子-鳥取間は、多額の税金が投入されて高速化工事が行われた。
かつて、このあたりの山陰本線は線路状態が悪く、走行する列車は時間がかかっていた。それを約45億円を投じて地上設備を改善し、さらに36億円を投じて新型車両キハ187が導入された。地上設備改良費のうち8割近くは鳥取県などの公的資金で、車両導入費36億円も鳥取県がJR西日本に無利子で貸し付けて購入させた。工事が完成したのは2003年。この高速化事業で、特急で70分かかっていた米子-鳥取間は、56分に短縮された。
JR西日本のような大企業に対して、地方自治体がここまで資金を出さなければ高速化がなされなかったことに、若干の違和感を覚えなくはない。しかし、赤字区間であるからJRが自主的に整備するとも思えない。結局、自治体が補助しなければ何も改善しないという地方の鉄道の現実がここにある。
ちなみに、こうした公的補助による高速化事業の手法を開発したのは隣の島根県の澄田信義知事(当時)である。澄田知事は国鉄出身という経歴の知事だが、鉄道の事情がよくわかっているからこそ、そういう手法を考えたのだろう。
ということで、最前列に座り、線路状態を眺めてみる。幸いなことに、スーパーまつかぜは最前列のシートからの展望は良い。
米子を出ると、列車はぐんぐんスピードを上げ、快調に飛ばす。
高速化事業のキモは、ポイントにある。駅の前後にあるポイントが、直線(あるいは緩やかなカーブ)になっているのがわかるだろうか。


高速化されてない鉄道のポイントはY字形になっているのだが、それだとポイント通過時に車体が左右に揺れるのでスピードを出せない。高速化工事でそれが直線化され、スピードを落とさずにポイントを通過できるようになる。これを「1線スルー化」という。こういう細かい積み重ねで、全体で十数分の時間短縮を成し遂げていく。スピードアップとは、とても地道な作業なのである。
などと眺めているうちに、眠くなる。昨夜の「サンライズ出雲」では、深く眠れなかったので、昼食の後に睡魔が襲ってくる。
少し眠って、気が付いたら鳥取に着いていた。