香住近辺にはあまり名所旧跡はないけれど、「応挙寺」というのがある。円山応挙が晩年に作品を残した寺で、正式には大乗寺という。

円山応挙といえば、「雪松図屏風」が思い浮かぶけれど、これは東京の三井記念美術館にある。

大乗寺で見られるのは襖絵が数点である。
これが、最晩年の「松に孔雀図」。

寺の説明では「応挙の絶筆」ということだが、応挙の絶筆作品は倉敷の蓮台寺が所蔵する「竹鶏図」との説もあるようで、どちらが本当なのかはわからない。「松に孔雀図」は、金箔に墨で描かれた質実な襖絵で、老練な力強さがあった。
ただ、現在公開されている「松に孔雀図」は、レプリカなのだという。コンピューターを使って製作した複製とのことで、再現度は高いけれど、レプリカと聞くとなんだか安っぽく見えてしまう。こちらの気持ちの問題だと思うのだけれど、不思議だ。
大乗寺では、所蔵の襖絵のレプリカを順次制作していて、本物と入れ替えているという。今は襖絵の半分くらいは本物だが、数年以内にほぼ全てがレプリカに入れ替わってしまうそうだ。
「本物」を見たい方はお早めに。