2012年1月23日。日本航空の羽田発関西空港行き最終便JAL189便で大阪に向かう。

羽田発は21時10分で、ボーイング737は定刻にゲートを離れて誘導路に出た。
天候はミゾレ混じりの雨。が、窓の外は急速に雪の割合が増えてきた。風も強い。大丈夫かな、と思っていたら、案の定飛行機は誘導路からターミナルのほうに向きを変え、別のゲートに進入して停止した。
欠航かと思ったらそうではなく、雪が強くなったので羽に積雪防止の措置をするという。クレーン車が近寄ってきて、主翼に着氷防止剤を振りかけている。「10分ほどで終わる」という機長の説明だったが、撒布を終えても離陸の気配がない。どうやら滑走路にも融雪剤を撒いているようである。そうこうしているうちに雪も風もどんどん強くなってきた。
「別に無理しなくてもいいんだぞ、欠航なら欠航でいいんだぞ」と心の中で叫ぶが、約1時間の遅れで、再びゲートを離れ、滑走路に向かう。JALはマジメであるが、マジメすぎるといわれたことがあるに違いない。
もう夜遅いことだし、手近なA滑走路当たりから離陸するのかと思っていたら、どんどん遠くまで地上滑走する。たどり着いたのは沖合のD滑走路である。沖合だからか、風はことのほか強く、雪も積もっているようだ。離陸に失敗したら寒い東京湾の海の中だなあ、それだけはイヤだなあ、と思って気が重くなったが、飛行機は細かく揺れながらもきちんと離陸した。機長を表彰して差し上げたい。
関西空港の着陸は23時29分。約1時間の遅れである。後で調べたら、羽田の出発が10分早いANA便はほぼ定刻に関西空港に到着していた。たった10分の違いで、こうも天候が急変する。冬の天気は恐ろしい。
ところで、関西空港から大阪市内への最終バスは22時45分である。そのバスはとっくに出てしまっているので、代わりにJALがバスを大阪市内まで仕立ててくれるという。さらに、機内アナウンスによると、JR線の最終列車は23時41分とのことであった。
この時間から臨時バスを待つのもうんざりするので、僕は急いで飛行機を降り、ターミナルを抜けてJRの関西空港駅まで行ってみた。駅に着くと、たしかに23時41分発のJR線は存在したが、行先表示は日根野止まりである。日根野は関西空港から2つ目の駅で、大阪市内までは遠く離れている。

駅員に尋ねると、この列車で日根野まで行っても、天王寺へは乗り継げないという。これには僕はずっこけた。僕と一緒に走ってきた他の客もずっこけた。天王寺行きの最終列車が出てしまっているのなら、機内アナウンスではそう言ってほしかったところである。
JRに一駅だけ乗り、りんくうタウンで下車。今日はここに宿泊する。