JRの全線完乗が目的だったので、それが終われば今回の旅は事実上おしまいである。留萌から列車で深川へ戻り、旭川で泊まる。

旭川駅は、2011年11月に新駅舎がオープンしたばかりである。訪れるのは今回が初めてで、着いてみると、新幹線が通るのではないか、と思うほどの立派な駅であった。デザインも洗練されていて、コンコースを照らす柔らかな光は落ち着いている。どことなく札幌駅前通地下歩行空間と似ているな、と思い後で調べてみたら、どちらもデザインが加藤源氏であった。


ところで、北海道を旅していると、駅前商店街の過疎化や中心市街地の衰退によく出会う。いちばんひどいな、と思ったのが釧路で、北海道第4の都市の玄関口だというのに、駅前に限っては見る影もない寂れようだった。今回訪れた旭川は北海道第2の都市だが、丸井今井の撤退など暗い話題も聞く。どんな状況なのか、興味があった。
駅からホテルに途中に、その丸井今井が入店していたビルがある。丸井今井は2009年に撤退したが、2011年に商業ビルとして再出発している。行ってみると、なんとジュンク堂書店が入っている。おお、ジュンク堂、こんなところにまで店を出しているのか!
あまり知られていないけれど、ジュンク堂は神戸の書店である。僕は神戸に住んでいたことがあるので、小さく商売をしていた頃のジュンク堂書店を知っている。三宮センター街の地下に店舗があった時代である。当時の記憶が強いので、あのぱっとしない三宮の書店が、東京あたりに大型店を出店していることに今でも違和感を覚える。それが、なんと旭川まで! ときわめて個人的に違和感を感じまくりました。
なんであれ、百貨店の跡地が商業ビルになり、それも立派な書店が入っているのは喜ばしい。それにしても、1階から5階まで5フロアもあったが、旭川であんなに大きな書店を作って、お客さんがちゃんと来るのだろうか。人ごとながら心配である。
旭川での夕食は、松尾ジンギスカンと決めている。他にもいろいろ美味しい店もあるのだろうけれど、北海道といえばジンギスカンだし、ジンギスカンといえば松尾ジンギスカンである。旭川の松尾ジンギスカンは、繁華街から少し外れたところにあるけれど、昭和の香りのする座敷が趣があってよい。
味はいつもと変わらず、ごはんが進むくんである。