何でいまさら「日本海」 (2012年さよなら寝台特急「日本海」旅行記5)

寝台列車というのは、残念ながらあまり便利な乗り物でもないし、快適な乗り物ともいえない。スピードは遅いし、揺れるから熟睡できない。だから、仕事では使いにくい。鉄道好きな僕ですらそう思うのだから、普通の人はなおさらだろう。
日本海2

ということで、普通の人は寝台列車など使わずに、飛行機か新幹線で移動してビジネスホテルに泊まる。そんな時代でも大阪と青森を結ぶ寝台特急「日本海」がここまで生き残ってこれたのは、東北の日本海側と関西を結ぶ交通手段が貧弱だったことに尽きる。飛行機の便数は少ないし、新幹線もほとんど通っていない。

聞くところによると、「日本海」の最大顧客は関西への修学旅行生だったという。なるほど、修学旅行には寝台列車は適している。一度に大人数を確実に輸送できるし、乗り換えもないから教員の手間も小さい。車両を借り切れば生徒の管理も容易である。また、飛行機を利用しようにも、関西-東北の飛行機のサイズは小さい。一学年全員が乗り切らないこともあるので、修学旅行には不向きである。

そんな事情で、この時代まで「日本海」は生き残ることができてきた。しかし、2012年3月のダイヤ改正で姿を消す。

最大の理由は乗客減である。それには上記の修学旅行生の減少も含まれる。これは少子化が関係しているのと、旅行先が東京に変更されることも増えているから、だという。

また、3年後に迫った北陸新幹線の金沢開業の影響もある。北陸新幹線が金沢に延伸されると、北陸本線の金沢以西がJR西日本の手を離れ、第三セクターに委譲される。その場合の運行計画に「日本海」は入ってない。スムーズに移行するために、JR西日本は北陸本線系統の人員整理を始めていて、手始めに夜行列車が整理されることになったらしい。

さらに、車両の老朽化もある。「日本海」の車両は24系で、国鉄時代の1970年代に製造されたものだ。車齢は30年を越えており、傷みが激しい。動くことは動くけれど、特急のアコモデーションとして使用に耐えうるか、という問題もあった。
日本海3

かように「日本海」の廃止の理由は枚挙に暇がなく、廃止が発表されても、誰も驚かなかったんじゃないかと思う。

さて、僕はこれまで、「日本海」には乗ったことがなかった。気になる列車ではあったけれど、東京に住んでいると基本的には用のない列車である。関西に住んでいた時代には、東北に行こうと思うモチベーションがなかった(関西人にとって、東北はあまりポピュラーな旅先ではない)。

そういうことで、気になりながらも乗らずにいて、ついに廃止を迎えてしまったわけで、それならばと、いまさらながら廃止前に乗りにきたのである。

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