最後の分水嶺である大釈迦の小さな峠をトンネルで越えると、もう終点青森である。真っ白な大地に輝けるような高架橋が見えたら、それは東北新幹線。細いホームの新青森駅にご丁寧に停まると、青森駅構内の複雑なポイントをゆっくりと抜けて、列車は10時26分の定刻に、終点青森駅に到着した。凍り付いたホームに降り立つと、ここが正真正銘の北国であることを実感する。

昨日の夕方までは、たしかに乾燥した大阪にいた。それが、たった一晩寝ただけで、こんな真っ白な世界に着いてしまう。
南のほうからやってきた外人なら驚くだろうな、なんてことを夢想しながら、凍てついた日本海の車体の撮影をする。

機関車のヘッドマークは雪でまみれてもう読めない。

そしてあっという間に切り離されてしまった。

代わりに、小さなディーゼル機関車DE10が反対側にとりつく。これは構内用の機関車だから、ヘッドマークはない。

到着後、「日本海」は、20分くらいは名残惜しそうに青森駅のホームにたたずんでいた。やがて、機関車が意を決したようにホイッスルを鳴らすと、ゆるりゆるりとホームを離れていった。

大阪から道中をともにしてきた熱心な鉄道ファンが十数名、その姿を最後まで見送っていた。列車は真っ白に雪化粧した、青森駅の引き揚げ線の彼方へ消えていった。
これで、「2012年さよなら寝台特急『日本海』旅行記」は終了です。よかったら、拍手の一つでもしてくださいな。