あまり知られていないけれど、近年は「鉄道スキー」がブームである。そんな話聞いたことがない、最近はスキー・スノボ離れが深刻で、スキー場が経営難に陥っているじゃないか、と考えている人もいるようだけれど、それは交通不便で設備も古い施設の話である。鉄道アクセスの整った新しいスキー場は、芋の子を洗うみたいに混んでいるらしい。
そんな話を聞いて、久しぶりにスキーをしてみたくなり、2月下旬に「鉄道スキー」に行ってみた。行き先はもちろん、鉄道スキーというか、「新幹線スキー」の本家本元「GALA湯沢」である。「思い立ったらガーラ」とJR東日本が宣伝しているけれど、それにまんまと乗せられたことは内緒である。
上越新幹線「たにがわ」に乗って出かける。絶滅寸前の200系車両で、スキーにでも行かなければ、200系に乗る機会なんて、もうなかったであろう。

スキーは10年ぶりくらいだったし、自分はヒザと足首に故障を抱えているので、若干不安であった。それでおそるおそる滑ってみたけれど、まあまあいける。というか、久しぶりに滑るとすごい楽しい。
それにしても、鉄道スキーは楽である。朝いつもの時間に起きて家を出る。昼前にスキー場に着いて、食事をしてから午後のリフト券で滑る。どのみち、丸一日滑るほどの体力はすでに失われているのだから、午後券でこと足りる。

疲れたら怪我しないうちに早めに引き上げる。午後5時から6時の列車に乗れば、家には8時から9時に着ける。これだと、日常の生活時間を変えることなくスキーができるし、いつものベッドで寝起きできるので、身体への負担が少ない。実際、あまり疲れなかったので、「久しぶりで楽しかったわ~」という気分のよさだけが残った。
調子に乗って、5日後に、ナスパ・スキーガーデン(Naspa Ski Garden)に行ってみた。ナスパは越後湯沢からバスで5分ほどのスキー場で、アクセスビリティはガーラ湯沢と遜色ない。こちらも食事をしてから午後のみ滑る。食事のビーフシチューが旨い。

ここはホテルオータニの経営で、レストランの質は高い。宿泊者向けのスキー場なので、日帰り客向けの施設は今ひとつだったが、それなりに楽しめた。
と、2度「鉄道スキー」をしてみたが、ウワサ通りどちらもそれなりに混んでいた。GALAは平日だったけれど結構な利用者がいたし、ナスパは週末だったからか、親子連れがとても多かった。ガーラは1990年のオープン、ナスパは1992年オープンで、どちらもわりと新しく設備がきれいなため、人気があるのかもしれない。
週末に出かけたときは、上越新幹線もおそろしく混雑していた。この2回の経験に限って言えば、「スキー離れ」なんてひどい嘘で、実はスキー大好きな人が流した悪い冗談なんじゃないか、とすら思う。だって、これ以上「鉄道スキー」が浸透したら、指定券を取れなくなるから。
ということで、昔スキーの経験があり、最近行ってないなあ、という人がいたら、「鉄道スキー」はおすすめです。久しぶりのスキーはやっぱり楽しい。
ここでは日帰りの話をしたけれど、日帰りできるスキー場は限られるので、泊まりにするともっと行き先は広がる。1日目に午後だけ滑り、2日目に午前だけ滑って、帰宅する、というのもいいかもしれない。……、すごい平凡な結論ですいません。