十和田市駅の悲劇(2012年さよなら十和田観光電鉄旅行記4)

十和田市駅では、ホームから陸橋が延びていて、そこを渡ると駅施設に着く。駅施設はショッピングセンターの2階の一角にある。駅ビルにショッピングセンターを併設してあるわけだ。
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ただ、改札をくぐると、ショッピングセンターのシャッターは閉まっている。以前来たときは開店していて、女子高生がアクセサリー店で暇つぶししながら列車を待っていたりした気がする。しかし、今はシャッターが冷たく閉まっていて、薄暗い階段を降りて、地上に出なければならない。
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このショッピングセンターは、かつてはダイエーと十和田観光電鉄が提携して営業していた。しかし、ダイエーは経営破綻などもあって手を引き、2007年にはショッピングセンター自体も閉鎖された。それから4年あまり、このシャッター状態が続いているようである。
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じつは、このショッピングセンターの閉鎖も、十和田観光電鉄の廃止と関連している。現在の建物所有者が建て替えを希望していて、十和田観光電鉄に立ち退きを要求しているのである。十和田観光電鉄としては、立ち退いたら駅施設を自前で作り直さないといけない。しかし、金銭的な問題もあるし、スペースの問題もある。現在の十和田市駅ホーム近辺に、新たな駅舎を建設する余裕はない。
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そういうせっぱ詰まった状況があったうえに、東北新幹線の新青森開業が重なった。これにより、起点の三沢駅にJRの特急が来なくなり、遠距離客は三沢駅を使わなくなった。必然的に十和田観光電鉄も使われなくなり、十和田市から新幹線に乗る乗客は、電車の代わりにバスで八戸駅へ向かったりするようになったのである。それで、十和田観光電鉄の定期外客は激減し大打撃となった。もともとの乗客減と、十和田市の駅施設問題にくわえ、三沢駅からのJR撤退が決定打となって、十和田観光電鉄は廃止を決断したということだ。
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なんだか、刀折れ矢尽きた感がある。ここまで聞くと、同情してしまう。
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十和田市の駅前には、広々とした駐車場を持った紳士服店などが軒を並べている。ここは、かつて十和田市駅の構内で、本社もあったという。広大な構内を売却して、今のショッピングセンターの「駅ビル」に移転して利便性を向上したはずだった。しかし、最終的にはそこから追い出されてしまったわけである。

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