ダイニングカーとアテンダント(2012年JR全線完乗「カシオペア」の旅5)

「カシオペア」にはダイニングカーが連結されている。日本の寝台列車でこうした食堂車が付いているのは、いまや「カシオペア」、「北斗星」、「トワイライトエクスプレス」の3列車だけとなった。

カシオペア5

予約制で、予約可能時間は3回ある。メニューはフランス料理か懐石料理のコースのみ。チケットは事前にJRの窓口で購入しておかなければならない。この食堂車チケットも結構売れるのが早い。僕は20日前くらいに購入したけれど、すでに一番早い時間の回しかなかった。17時15分からで、夕食にはやや早い。

ただし、今日の「カシオペア」は出発時から1時間以上遅れている。そのため、食堂車の時間も繰り下がり、第1回目の予約者の食事は18時30分からとなった。適度な夕食の時間になり、予約者としてはありがたい。あおりを食ったのが最終回予約者で、21時過ぎからの食事開始となったようだ。出発の時間も遅れたし、ずいぶんおなかを空かしているのではないかと同情する。

ちょうど小山を通過した頃にダイニングカーを訪れる。女性のスタッフが忙しそうに準備していて、少し待たされてから、席へ案内される。スタッフはきびきびとしていて、笑顔もきちんとしているが、どことなく疲れている表情だ。

この女性スタッフを「アテンダント」というが、彼女たちの勤務は過酷だ。アテンダントは、2泊3日を一行程として、上野-札幌-上野を勤務する。つまり、「カシオペア」や「北斗星」に乗って徹夜で仕事して札幌に着き、またその夜の「カシオペア」や「北斗星」に乗って帰ってくるわけだ。そういうスケジュールで月6回~7回繰り返す。だいたい6勤2休の形態のようで、2往復の後に2日休む。これはかなりハードなんじゃないかと思う。

ちなみに、「カシオペア」には、彼女たちスタッフの仮眠室が用意されていて、それは食堂車の下にあるらしい。つまり、今僕が食事をしているその下は、スタッフのベッドルームになっている、ということだ。

ダイニングカーの料理はよかった。僕が食べたのは和食御膳で、豪華な幕の内弁当程度なのだけれど、とても美味しかった。セントラルキッチンで作ったものを、車内の厨房で手を加えただけ、と聞いているが、それでもこれだけの味が出せるのだなあ。素直に感心した。列車の中でこれだけのものが食べられれば、それで十分である。

カシオペア6

食事が終わると、することがない。再びラウンジカーに行くと、売店が開いていて、冷えたビールなども置いてある。ラウンジカーは洗練されているが、売店は古びた温泉宿の番台みたいで、昭和の雰囲気がする。この車両が竣工した1999年というのは、昭和の残り香と、バブルの残熱と、平成のクールさが入り交じった時代である。そういうモザイクな雰囲気を、この列車は感じさせてくれる。

カシオペア7

ラウンジカーの客は少ない。理由はたぶん、寒いからだ。暖房は効いているが、ガラス面積の多い車両だからか、底冷えがするのである。しばらくいると風邪を引きそうなので、僕も個室に戻る。個室では暖房を調整できて、最大にすればかなり温かい。

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