
札幌駅から、札幌市中心部の大通公園までは、わずか500メートルほどである。札幌駅前にも大通にも地下街があるのだけれど、この間は地下道でつながっていなかった。たいした距離でないのだから、つなげば便利になるのに、と思っていたのは僕だけではないだろう。
そうした計画は古くからあったようだけれど、具体化したのは最近で、2011年に完成した。完成した地下道の名称は「札幌駅前通地下歩行空間」という。そうか、ようやくあそこがようやくつながったか、苦節二十年、オレもよく耐えたよ……などとと住民でもないのに感動し、この地下歩行空間を歩いてみる。
札幌駅で「カシオペア」を見送った後、地下街の「アピア」に降り、さらにまっすぐ歩くと市営地下鉄のさっぽろ駅に着く。昨年までは、ここで地下道は行き止まりだったが、その奥に広い通路が建設されていた。
柔らかなオレンジの光が通路全体を照らし、安らいだ雰囲気がある。地下道の重苦しさは全くなく、高級マンションのロビーみたいだ。幅は20メートル。地下道というにはあまりに広い。
これだけ広いのなら、両側に店舗を配置して、テナントを入れればいいのに、と思うけれど、建設時に国から補助金をもらうために、店舗を併設はできなかったのだという。お役所にはいろんな事情があるのだろうけれど、なんとなくもったいない。でも、余計な買い物をしなくて済むので、お財布には優しいかも。
距離は520メートル。その前後もあわせて、札幌駅から10分も歩けば大通公園に着く。真冬で、外は大雪が積もっているのに、地下だから快適に歩ける。これは素晴らしい。
地上に出てみると、ちょうど雪祭りの準備中だった。雪祭りは、この翌々日からである。雪像の大部分はできていたが、公園の多くはまだ立入禁止になっている。自衛隊が作った立派な雪像は、家族と関係者のみが入場できる「内覧会」になっていた。関係者ではない僕は、ロープの外から首を伸ばして仰ぎ見る。遠目だけれど、十分見られる。

一通りおおざっぱに見て回り、また地下空間を抜けて、札幌駅に戻る。
特急「スーパーカムイ17号」に乗り1時間ほどで深川に到着した。いよいよ、JR線全線完乗の、最終起点駅に立った。