立山砂防軌道は一般開放できるか?(2012年立山カルデラ旅行記4)



さて、この現存の砂防軌道、かなりスリリングな登山鉄道体験が楽しめます。名物のスイッチバックは飽きるほど堪能できますし、常願寺川の景色もなかなかです。もし、一般人が自由に乗れる観光鉄道にしたら、客は殺到するでしょう。

富山県には、同様の非公開軌道として「黒部ルート」の上部軌道があります。それにも乗ったことがあるのですが、比較すると、砂防軌道のほうが一般公開は容易に感じられます。トンネルが少ないため、安全上の設備投資は上部軌道に比べれば少なくて済むでしょう。線路もしっかりしていますし、旅客化のための問題点は多くはなさそうです。

あるとすれば、編成の問題。現在3両編成で、これを長編成にするにはスイッチバックの引き揚げ線も延ばさないといけないため難しいのですが、3連では輸送量に限界があります。また、交換設備も少ないので、旅客化するなら樺平スイッチバックの途中などに交換設備を設ける必要がありそうです。

ただ、本当のハードルは軌道そのものにあるのではなく、立山カルデラの安全性にあるのかもしれません。土石流が頻発する立山カルデラにおいて、観光客を日常的に運送していいのか?というハードルです。雨天運休を徹底すれば問題はなさそうにも思えますが、お役所仕事の場合は、こういう部分が実は高いハードルになるのではないか、と思えます。現在、カルデラ地域は一般人は立ち入り禁止です。それを「解禁」するには、相応の大義名分が必要かもしれません。

それでも、立山砂防軌道はぜひ観光鉄道化してほしいものです。黒部ルートとあわせて観光化できれば、立山黒部アルペンルートという横軸に、「宇奈月から立山カルデラ」という縦軸が加わります。縦横に観光路が延びれば、北アルプスは世界有数の山岳観光ルートの名を獲得できるのではないでしょうか。

ところで、最後に時間があったので、砂防博物館の内部をもう一度見学しました。出発前に見学したときとは違い、立山カルデラと砂防工事についてとてもよく理解できたと思います。やはり、鉄筋コンクリートの建物の中で話を聞くだけではダメで、現地に行ってみないことにはわからない、ということでしょう。

この学習会、現状は週に1度、水曜日だけです。少なすぎると思うのは筆者だけではないでしょう。学習会の頻度を増やすにもさまざまな調整が必要なのでしょうが、砂防軌道の観光鉄道化ほどのハードルではないと思います。学習会を週末を含めて週5回くらいは開催できれば、観光資源としてとても有用になるはずです。

現在の参加費は2000円ですが、これは人件費を考慮しない「公営価格」でしょう。内容を考えれば7000円くらいは必要に思われますし、そのくらいの価値のあるツアーです。価格を上げて、事業としての採算を確保したうえでの一般開放を期待したいところです。

これで、2012年立山カルデラ旅行記4は終わりです。よろしければ拍手の一つでもしてくださいな。

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