屋久島の縄文杉は、1995年頃まで、登山者が近づくことも触ることもできました。
しかし、その後、展望デッキが完成し、登山者は縄文杉をデッキから眺めることしかできなくなり、近づくことも触ることも禁止されました。樹木の保護のため仕方ないとはいえ、その話を聞いて僕はがっかりしました。

さらに昨年、今度は縄文杉登山の入域制限をする、という条例案が屋久島の町議会に出されました。結局廃案になりましたが、議論はまだ続いています。触ることができなくなっただけで残念なのに、今度は自由に山登りすらできなくなるかもしれないのです。
入山者数の制限だけならともかく、小笠原のように「ガイドが一緒でないと山に入ってはいけない」なんてことになるかも知れません。そうならないうちに、縄文杉に行ってみよう、と思い立ちました。旅の動機はいろいろありますが、こういう「今行っておかないと!」というのは、モチベーションとして強いものです。
さて、縄文杉観光は、往復で10時間を歩く長丁場のトレッキングです。有名観光地ではありますが、覚悟を決めて準備をしなければならない点が、普通の観光とは異なります。個人的な話をすると、膝と足首を痛めてから長距離を歩いたことがないので、やや不安もあります。
心配を解消するために、出発前には高尾山でトレーニングをし、富士山にも登りました。足の痛みが出ないことを確認し、いざ出発です。