須走口下山路(2012年富士山登山記14)

普通の旅行記であれば、目的地に着いてしまえば、帰りについては省略するものです。帰りは書いていても読んでいてもつまらないですから。

が、富士山の場合は、下山こそが実は重要問題だったりします。下山は、登山よりよほど大変だからです。

そこで、蛇足のようですが、剣ヶ峰から下山にかけても登山記は続きます。

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剣ヶ峰を出て、噴火口に沿って時計回りに歩いていきます。


噴火口が右によく見えます。


振り返ると、気象観測所が、要塞のような姿。本当に美的です。


少し歩いて、左手に見えるのが、大沢崩れ。富士山最大の侵食谷です。現在も毎日275トンもの土砂が崩壊しているそうです。富士山西側は、この大沢崩れも含めて傾斜が急で、そのため登山道はありません。



噴火口にある雪渓も見えます。


お鉢巡りは、多少の起伏がありますが、風さえ吹いていなければ苦労するほどの道ではありません。晴天で日差しは強いですが、霧もなく気持ちいいトレックです。噴火口が日本離れした光景を楽しませてくれます。なんだか他の惑星を歩いているかのような気分です。

9時53分、吉田口頂上(久須志神社)着。これでお鉢巡りはおしまいです。


午前10時近くにもなると、吉田口頂上は人が減り、落ち着いています。山小屋に泊まった人はあらかた登頂を終えている時間ですし、早朝に五合目から登り始めた人が着くにはもう少し時間がかかります。


僕も少し休憩し、少し急いで下山の準備を始めます。急いでいるのには理由があり、午後から天気が崩れると思われたからです。昨日の経験からいっても、午後2時を過ぎると雷雨の危険があります。山頂から須走口五合目まではコースタイムで3時間ですから、遅くても午前11時には下山を開始する必要があります。

「ソイジョイ」を食べて、カロリー補給。これで、主要な食糧はすべて食べきりました。荷物はずいぶん軽くなっており、ないも同然です。

風よけに着ていたレインウェアも脱ぎます。山小屋のスタッフの会話を聞くと、山頂の気温は20度もあるそうです。風があるので寒いですが、なければTシャツでも問題ないくらいです。いずれにしろ、下山時には不要なので、登山着上下にだけになりました。スパッツを付け、砂が入らないようにします。これで、下山準備完了です。

帰りは須走口五合目を目指しますが、八合目までは吉田口と共通の下山路を使います。10時23分、下山開始。



下山路は登山路と違い、砂と岩が混じった荒れた道です。この区間は、物資輸送のブルドーザー道と共通です。これがとにかく歩きにくい。膝や太股に負担がかかります。半合分下りただけで、もうイヤになりました。こんな下山を、1700メートルもしないといけないなんて!


とはいうものの、下山しないと家に帰れません。膝を壊さないように、ゆっくり下りていきます。次々と抜かされますが、仕方ありません。

助け合って下りていく夫婦も。どうやらアジア系の様子。この格好で、あと線数百メートルを下りるのでしょうか。


ジグザグ道を絶望しながら、なんとか八合目の下江戸屋着。標高3270メートル。11時10分です。コースタイムは45分で、実績は47分。ゆっくり下りてきたつもりですが、ほぼコースタイム通りでした。急いで下りないのは、僕だけではないようです。


11時20分、下江戸屋発。ここで、下山道が吉田ルートと須走ルートで分かれます。


須走ルートに入ると、人ががくっと減ったのがわかります。同じルートで下りてきた人たちの多くは、吉田ルートの下山道に行ってしまったのでしょう。

須走ルートのこの区間は、登山道と下山道が同じです。朝から登ってきた人たちと次々とすれ違います。あまり数は多くないですが、それでも登山者とすれ違うときは気を遣います。下山しているとどうしてもスピードが出てしまいがちだからです。

11時40分、本七合目の見晴館着。江戸屋から見晴館のコースタイムは20分。実績も20分でした。標高3140メートル。



ここでマスクを装着します。下山中は砂煙がかなり舞い上がるからです。11時45分発。

さらにジグザグの砂道を下っていきます。見上げると、まだ山頂が見えますが、だいぶ遠くになりました。


雲がかかっては、千切れていきます。雲がかかると、山頂はみえなくなりますが、ほどなくして、また見えるようになっています。山の天気は安定しません。

12時07分、七合目太陽館着。見晴館からのコースタイムは25分で、実績が22分。ほぼタイム通りです。標高2920メートル。山頂から800メートルも下ってきたわけですが、まだ下りるべき高さの半分です。



ここからいよいよ、砂走りが始まります。

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