JR釧網本線の川湯温泉駅と温泉街は少し離れていて、訪問客のために路線バスが走っています。1日6往復。川湯温泉に到着する釧網本線の列車のほぼ全てに接続しています。
僕が訪れたのは、網走からの快速「しれとこ」でした。1両編成のローカル列車は、20人ほどの客を乗せて網走から到着。川湯温泉で降りたのは5人ほどでした。

駅を降りると、川湯温泉行きのバスがすでに到着しています。列車が11時40分の到着で、バスは11時45分発。5分の接続で、客を待たせずに出発します。

車両は日野レインボーRJ。1984年頃に製造された車両です。製造から約30年近く経っているわけですが、外見はそこまでの古さは感じません。ただ、椅子のモケットはやや緩い感じです。

定時11時45分に、僕を含め二人の客を乗せて出発。駅前通りから摩周国道391号線に出て、北へ向かいます。除雪はしっかりされていて、バスは時速50km程度の巡行運転でした。
3分ほど国道を走り、苗畑入口で左に折れ、川湯の市街地に入ります。道路は雪道になり、バスは踏みしめるように速度を落とします。市街地をぐるりと回り、終点の川湯温泉バスターミナルに定刻11時55分着。途中乗降はなく、乗客は最後まで二人だけでした。

折り返しのバスは13時05分発で、1時間10分後。お風呂に入るのにちょうどいい時間です。川湯温泉には公衆浴場があるので、入ってみます。お昼時でしたが、地元客が3人ほどいました。

川湯温泉は日本有数の強酸性泉として知られています。浸かると湯の強さが身体に染み込むようです。これほど力強い湯というのはなかなかありません。

入浴客の一人と話をすると、川湯温泉は泉源の温度が高く、かつては水を入れて冷ましている宿が多かったのですが、最近は全ての宿でかけ流しにしているとのこと。そのため、どの宿でも強い湯が味わえるそうです。「それでも、ココ(公衆浴場)が一番だなあ」とご自慢の様子でした。
川湯温泉は2004年に「源泉100%かけ流し宣言」をしています。奈良県の十津川温泉に続き、日本で2カ所目の宣言地でした。温泉客が減っていることへの危機感があったと思われますが、宣言できるだけの豊富な湯量の証左でもあります。全国的に見ても、温泉街全体で「100%かけ流し」を宣言しているのは、10カ所ほどに過ぎません。
湯から上がり、温泉街を散歩します。雪が降っていることもあり、他に歩いている人はいません。店を開けている土産物屋さんも手持ちぶさたの様子でした。いくらシーズンオフとはいえ、こんなに人がいなくて大丈夫かと、ちょっと心配です。

帰りのバスに乗ったのは、行きと同じ鉄道観光客二人です。バスはまた黙々と走り、川湯温泉駅に戻りました。