宗谷バス枝幸発雄武行き(オホーツク縦走バスの旅6)

枝幸バスターミナルは、かつての興浜北線の終点・北見枝幸駅の跡地に建っています。ターミナルの目の前の広場がかつての駅前広場。しかし、雪に埋もれていて、痕跡はまるでわかりません。


枝幸のターミナルでバスから降りた他の乗客は、全員が隣接するスーパーに吸い込まれていきました。バスターミナルとスーパーが隣接しているというのは、交通弱者にはとても便利そうです。僕もスーパーに入ってみたかったのですが、次のバスとの乗り継ぎが10分しかないので、その時間はありませんでした。

3番手となる次のバスは、雄武行きです。国鉄時代、浜頓別からの鉄道はここ枝幸までしかありませんでしたので、枝幸-雄武間は鉄道代替バスではありません。

バスターミナルの窓口で、雄武までの「きっぷ」を求めると、販売されていませんでした。応対してくれた職員は、きっぷを求めた僕を珍しそうな表情で見て「車内で現金で支払ってください」と教えてくれます。

掲示されている運賃表で枝幸-雄武の金額を確認すると1930円。雄武までは1時間ほどなのに、ずいぶん高く感じます。所要45分の浜頓別-枝幸が700円、2時間半かかった稚内-浜頓別間が2120円でしたから、それと比較すると枝幸-雄武の運賃は割高です。


その理由は、枝幸-雄武間が鉄道代替バスではないからと思われます。鉄道代替バスには補助金が投入されていて、バスになっても低運賃が維持されています。それに対し、鉄道が一度も走ったことのない区間にはそうした補助金がないので、運賃は高めになってしまうのです。

1985年の時刻表を見ると、枝幸-雄武間のバス運賃は1900円。今とほぼ同額です。30年近く前の価格が現在に至るまでずっと維持されてきているのです。ローカル路線バスも鉄道代替バスに引っ張られてか、値上げをしていない様子がうかがえます。

雄武行きのバスが入線してきました。三菱ふそうエアロバスで、1996年製造の形式です。1ドアの長距離高速バス仕様で、リクライニングシートが並びます。製造以来15年以上を経過しているので古さは否めませんが、これまでの路線バスタイプよりは落ち着きます。



枝幸ターミナル13時4分発。定刻より4分の遅発です。乗客は僕を含めて10人ほどで、ここまでのどの路線よりも賑やかです。ちょうど買い物を終えて帰宅するのにちょうどいい時間だからかもしれません。ちなみに、雄武方面からのバスの到着は9時50分なので、買い物客は3時間ほど枝幸に滞在して家に戻っていくことになります。買い物するのに半日かかるのです。

左車窓には、雪原の向こうにオホーツクの冷たい海が広がっています。流れ込む川の表面は凍っています。気の遠くなるような白い世界に、ときおり集落があり、停留所があり、乗客が一人、また一人と降りていきます。この人たちにとっては、このバスは命の綱なのです。



音標という集落までにほとんどの客は降りてしまいました。そこが枝幸町の南限で、バスは雄武町に入ります。枝幸町までが宗谷総合振興局管内で、雄武町からはオホーツク総合振興局管内です。行政区域が大きく変わります。


14時09分、雄武着。2分の遅延です。バス停留所はかつての興浜南線の雄武駅のあった場所で、現在は道の駅おうむにAコープが併設されています。道の駅にはバス待合所がありますが、営業所などターミナル機能はなく、係員も常駐していません。


雄武はバス会社の境界にあたる場所で、宗谷バスの南限、北紋バスの北限にあたります。つまり、どちらのバス会社にとっても終点扱いの場所で、そのため、ターミナル機能が付けられなかったのかもしれません。

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