いよいよ、オホーツク縦断バスの旅へ出発。まずは稚内8時38分発の宗谷バス浜頓別行きに乗ります。旧天北線の代替路線バスです。天北線は稚内-浜頓別-音威子府を結ぶ148.9kmの鉄道路線で、1989年に廃止されました。
稚内のバスターミナルは、JR稚内駅と同居。きれいな待合室と窓口もあります。

浜頓別までのきっぷも用意されていました。2120円です。

バスは路線バスタイプで、三菱ふそうエアロスターです。2010年に製造開始された、比較的新しい形式です。内装は長距離路線仕様で、一部の椅子はハイバックシート(背もたれが高いシート)になっています。


定刻8時38分発。稚内駅から乗車したのは僕一人。途中、市内で4人の客を拾って郊外へ出ました。
昨日と違って風は弱く、視界は開けています。路面も除雪されており、バスは時速60kmで快走。左手には宗谷海峡の海が波打ちます。

昨日たどり着けなかった宗谷岬も、難なく通過します。観光客の姿は見あたりません。

大岬小学校前で、乗客が2人降り、車内に残ったのは僕を含めて3人だけとなりました。
大岬の集落を過ぎると、無人地帯に入ります。このエリアは、かつてバス路線がありませんでしたが、2011年に経路変更でバスが走るようになりました。とはいえ、無人地帯なので、バスが走るようになっても乗降はありません。

東浦という小さな集落を抜けると稚内市がようやく終わり、猿払村になります。さらに小さな集落をいくつか抜け、猿払村の中心部・鬼志別の町に入りました。旧天北線沿線では、浜頓別に次ぐ第2の集落です。人口希薄地域を抜けてきたからか、小さな集落なのに大都会に見えてしまいます。
10時10分鬼志別ターミナル着。2分早着。鬼志別ターミナルは、かつての天北線鬼志別駅跡です。

「5分ほど時間取りますので、トイレの方は行ってください」と運転手がアナウンス。このバスは2時間半以上を走りますが、車内にトイレはありません。途中のトイレ休憩は、この1度限りです。
鬼志別の町を出ると、再び雪原が広がります。このあたりは猿払原野といい、日本でも屈指の人口希薄地帯です。かつて、ここに天北線という国鉄路線が敷かれていて、急行列車まで走っていたのですが、そんなことが信じられないくらい人家は少なく、行き交うクルマもまばらです。
鉄道代替バスなので、たまに幹線道路を離れ、かつて鉄道駅があった場所へ寄り道します。脇道は国道ほどしっかり除雪されていません。旧芦野駅へ向かう道路は路面も真っ白で、バスはたいして徐行もせずに、雪煙を蹴立てて走ります。

浜猿払という小さな集落のバス停から、女性が一人乗車してきました。雪の降りしきる中、こんなところでバスを待つのはさぞ心細いことでしょう。それでも、こんなところでバスが利用されていることには、なんだか嬉しくなります。

ひたすら雪原を見ながら走り、浜頓別の市街地に入ります。11時13分、浜頓別バスターミナル着。定刻より1分早着で、冬のこの時期を考えれば、驚くほどの正確な到着時刻です。

バスの終点は浜頓別高校ですが、乗客が全員降りてしまったので、運行はここで打ち切り。臨機応変な対応のようです。