まずは、羽田11時発の全日空571便で稚内空港へ。冬期間は、羽田から稚内へは1日にこの1便だけです。機材はボーイング737-800型機。天候不順で2日間欠航が続き、この日は3日ぶりのフライトでした。そのため機内は満席。この日も「雪のため着陸できなかった場合は、羽田空港に引き返す」という条件付き飛行での離陸です。

冬の稚内空港は欠航が多く、就航率は7割程度にすぎません。就航率が悪いのは、ILS(計器着陸装置)が滑走路の西側にしか設置されていないことに最大の原因があります。冬の稚内は北西風が多いので、ILSのある西側から滑走路に進入しようとすると追い風になりますが、追い風着陸は危険です。そのため、冬は向かい風の東側から進入することが多く、ILSが使えません。その東側には地形の制約があり、ILSを設置できないのです。
ILSが使えないと、有視界で着陸することになります。有視界の場合は、滑走路が視認できないと着陸できませんが、冬の稚内は霧や地吹雪で滑走路が見えないことが多いそうです。天候は刻一刻と変わりやすく、10分前に視界良好だったのに、今は見えなくなっている、ということも良くあるそう。そのため、「着陸できなかった場合は引き返す」という措置をとらざるを得ないようです。
この日も、稚内は北西の風でした。飛行機は宗谷岬の南をかすめ、東側からアプローチします。有視界着陸になりましたが、幸いにして視界は開けていたようで、571便は定刻より少し遅れた13時07分に稚内空港に到着しました。

雪の降りしきる、寒い12月の冬。路面も凍り付いています。