マルセイユは、南フランスを代表する都市です。とはいうものの、観光的にはさしたる見どころはありません。ブイヤ・ベースが有名ですが、本物のブイヤ・ベースを食べるのは大変らしいので、それをパスすると、あまり見どころはありません。
それでも筆者はマルセイユが気になっていました。その理由は、マルセイユは幕末から戦前にかけて、日本人が渡欧した際のヨーロッパの玄関口だったからです。たとえば、福沢諭吉らが随行した文久遣欧使節(第1回遣欧使節)では、マルタを経てマルセイユに上陸しています。
福沢らが上陸したのは、現在のマルセイユ旧港です。まずはそこを目指します。
アヴィニョンに滞在しての日帰り旅行なので、TGVを利用します。マルセイユまではわずか30分ほど。

さらに地下鉄に乗り継ぎ2駅。旧港に着きます。
ヨットがずらりと並んでリゾート感たっぷり。でも、文久遣欧使節の時代の面影はありません。「ああ、今から150年前にここに福沢諭吉が和服で上陸したのかあ」などと無理やり想像をめぐらせるのもちょっと難しいです。

港の入口にある「サン・ニコラ要塞」に登ってみます。

登ってみると、港を一望できます。要塞の中央部は企業の私有地になっているようで、立ち入ることはできませんでした。

旧港はあまり面白くありません。では、現在のマルセイユの一番の見所とされる「イフ島」に行ってみましょう。現地語なら「シャトーディフ」といいます。『モンテ・クリスト伯』の主人公が閉じこめられたという監獄島です。
ボートで20分ほど。監獄島とされていますが、本来は要塞だったものです。

雰囲気のいい島です。要塞そのものはたいしたことありませんが、ここから眺めるマルセイユは絶景でした。

簡単ですが、マルセイユはこれで終わり。帰りは、TERという快速列車に乗ってアヴィニョンのセントラル駅に戻ります。

こちらはTGVと違い、予約なしで気軽に乗ることができますが、TGVの3倍の時間がかかります。