寝台特急「あけぼの」は、「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」「サンライズ出雲・瀬戸」とともに、現存する貴重な寝台特急です。
なかでも「あけぼの」は、国鉄以来の「ブルートレイン」の伝統的な雰囲気を今も保持します。国鉄時代からの客車夜行寝台特急は、いまや「あけぼの」しか残っていません。

さて、下り「あけぼの」の出発時刻は上野駅21時16分。その30分くらい前に13番線ホームに行きますと、すでに列車を待つ客の姿が。鉄道ファンも大勢います。木曜日の晩でこれなので、金曜日はもっと多いのでしょう。
24系の8両編成。A寝台個室1両、B寝台個室2両、開放B寝台3両、ゴロンとシート2両の編成です。

筆者はA寝台個室「シングルデラックス」に乗車。いまや「あけぼの」にしか連結されていない貴重な車両です。

2段式ベッドを装備していますが、2人で使うと狭そうです。洗面台、空調、コンセントなどが一式揃い、世界的に見ても個室寝台としては上質なほうに入るでしょう。
車両はスロネ24554。1973年製で、もともとは3段式B寝台車オハネ24だったものを、1991年に改造したものです。
車齢は40年。昔の車両は丈夫に作られているとはいうものの、さすがに限界が来ているようで、動き始めるととにかく揺れます。熟睡するのは難しいです。
あと、タバコの煙が空調から入ってくるのにも辟易しました。個室寝台は禁煙ではないので、室内でタバコを吸うことができます。その煙が空調を経由して他の部屋にも入ってくる。これが一番困りものでした。逃げ場がありません。
ビールを飲んで就寝。起きたら日本海側を走っています。遊佐のあたりでした。

6時38分秋田着。4分の停車です。ホームに駅弁販売があるとの車内アナウンスがあり、見てみました。数人が購入していました。販売されているのは本格的な「駅弁」。サンドイッチといれたてのコーヒーでもあるといいのですが。

秋田からはわりと小さな駅にもこまめに停まっていきます。駅に停まるたびに少しの乗客が降りていきます。「あけぼの」は最後まで生き残った寝台特急だけあって、実需が手堅くある様子。鉄道ファンだけの列車ではありません。
明るくなったので、車内を一通り歩いてみましょう。
まずは、A個室の廊下。

こちらはB個室。部屋主が下車した後の部屋です。

懐かしの開放B寝台。

A個室とB個室はほぼ満室のようですが、開放寝台は1両を除いてガラガラ。個室には需要が多く、女性も乗っていましたが、開放寝台はもう時代遅れなのでしょうか。
ただ、ゴロンとシート(男性車両)は下段は全部埋まっていましたので、開放寝台は価格を下げれば需要があるのだろうな、とは思います。横になれるのはやっぱりラクですね。
青森には定刻9時52分着。

やっぱり個室寝台は快適で、上野から12時間以上かかりましたが、あっという間でした。寝台特急「あけぼの」。もう乗ることはないかもしれません。ありがとうございました。