木古内駅は、かつては北海道のローカル線の小さな分岐駅でした。それが津軽海峡線の開業にともなって重要な拠点駅になり、さらに北海道新幹線の開業にともなって新幹線駅に昇格します。出世魚のような駅です。実際、木古内駅の前に何度立ってみても、ここの新幹線駅ができるとは信じられません。
駅前には寂れた商店街があるだけでしたが、今回訪れてみると、駅前に大きなドラッグストアが開店準備をしていました。新幹線駅になると、様子が変わってくるのでしょう。

11時48分発の江差線に乗ります。2ヶ月ほど前に乗ったときは単行でしたが、今日は2連です。廃止を前に、鉄道ファンが大勢訪れてきているからでしょう。車内のボックスシートは鉄道ファンで占拠されており、途中駅からの乗車で付けいる隙はありません。
12時24分湯ノ岱着。江差線で唯一、交換設備がある駅で、そのため駅員が配置されています。いまでは珍しいタブレットの受け渡しも行われます。


列車が発車してしまうと、谷あいの駅は静寂に包まれます。小さな待合室は手作り感にあふれています。窓口の向こうでは、駅員の昼食を取る音がします。

筆者も空腹を覚えました。駅前食堂でもあれば、と思って通りに出てみますが、小さな商店が2軒あるのみ。それも酒と乾物だけを扱っているような店です。食堂などあるような場所ではありません。

近くに温泉センターがあると聞いていたので、歩いてみます。が、行ってみると月に一度の休業日。食堂も併設されていましたが、それもお休みでした。残念。
しかたなく駅に戻り、江差からの折り返しの上り列車を待ちます。待合室は、相変わらず、静まりかえっています。遠くでは、鳥の声が時折聞こえます。

時を超えたような小さな駅も、あと1年足らずで廃止されます。